ISO(国際標準化機構)で、日本が提案した「スマートコミュニティインフラの統合と運用のためのフレームワーク」に関する国際規格が発行された。この規格の普及で、都市インフラの開発・運用・保守のプロセスが世界的に共通化し、進出先の商習慣、開発慣行の違いによる影響の最小化が見込め、日本企業の海外スマートシティ市場への更なる進出が期待される。
今回発行されたのは、スマートコミュニティインフラの開発・運用・保守等のプロセスの国際標準化を目的に日本2020年1月に提案。ISO37155-1(Framework for integration and operation of smart community infrastructures-Part1)とISO37155-2(同-Part2)が、21年5月にそれぞれ国際規格として承認・発行された。
2つの国際規格は、日本企業が対応し易い枠組みとして策定された。
ISO37155-1では、主に複数のインフラ間の相互作用を適正に確保することを目的に、ISO37155-2では主にインフラの妥当性確認と検証を行うことを目的にして、インフラのライフサイクルの各フェーズで何を行うべきかを規定している。
例えば「基本設計のフェーズでは、他のインフラなどとの相互作用を同定し、それぞれに対するリスクを踏まえ対策を検討する事」など、フェーズごとにステークホルダーの役割や責任範囲、推奨事項を定めている。
日本企業がスマートシティ、スマートコミュニティインフラの開発案件において海外進出をする際には、都市全体の開発ではなく個々のインフラやコンポーネントで進出することが多い一方、大規模な欧米系の会社は都市全体を開発することが多く、ビジネス上これらの欧米系企業が有利になりやすい傾向があった。
今回発行されたISO規格が普及すると、各地のインフラ工事における契約約款に採用されることで、都市インフラの各システムの要求事項の割り当てに関する考え方や、コンポーネントやインフラ個々の役割・責任範囲が国際標準として明確になり、都市インフラの開発・運用・保守のプロセスの国際的な統一化が進むこと、及び製品の性能が適正に評価されることになる。
この結果、日本企業が対応し易く、不利にならないような基本方針、枠組みを採用する海外都市開発プロジェクトが増加し、日本のインフラやコンポーネントメーカーの積極的な海外進出につながる効果が期待できる。
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