中外製薬の生産子会社の中外製薬工業は、静岡県藤枝市の藤枝工場内に、低・中分子医薬品を製造する合成原薬製造棟を新たに建設する。後期臨床試験用原薬の製造と上市後の初期生産に対応することを目的とする。完成予定は2025年3月。総投資額は555億円
以下は発表資料
低・中分子医薬品の後期開発用治験薬製造から初期商用生産を担う合成原薬製造棟の建設について
当社は、生産子会社である中外製薬工業株式会社(本社:東京、代表取締役社長:田熊 晋也)の藤枝工場(静岡県藤枝市)内に、低・中分子医薬品の新たな合成原薬製造棟を建設することを決定しましたので、お知らせいたします。
低分子、抗体に続く第3のモダリティとして注力する中分子医薬品をはじめ、近年の中外製薬における合成医薬品の創薬研究は、そのほとんどが製造難易度の高い化合物によるものです。こうした化合物の増加に対応するため、藤枝工場では2022年の完成に向け、合成原薬製造棟(FJ2)の建設を2019年に開始しています。
新たに建設する合成原薬製造棟(FJ3)は、高い薬理活性を有する低・中分子医薬品について、後期臨床試験用原薬の製造と、上市後の初期生産に対応することを目的としています。藤枝工場の既存の合成原薬製造棟(FJ1)と建設中のFJ2にFJ3が加わることで、初期臨床開発から初期商用生産までの一貫した自社供給が可能となり、革新的な新薬候補物質の速やかな開発・上市を支える基盤が大きく強化されます。
代表取締役社長CEO奥田 修は、「成長戦略『TOP I 2030』では、中分子医薬品を当社の中長期的成長を牽引するモダリティとして位置づけるとともに、R&Dアウトプットの倍増により、自社グローバル品の毎年上市を2030年までに実現することを掲げています。新規プロジェクトが次々と臨床段階に入ることが見込まれる中、高い薬理活性を有するなど、大量に製造する事が困難な原薬の初期臨床開発から上市に至る安定的な自社供給体制の確立は、中分子医薬品のスピーディな開発と競争優位性の獲得を支える大きな力となります」と述べたうえで、「FJ3は、中外製薬が目指すトップイノベーターに相応しい製薬機能の実現のため、高度な生産技術に対応するだけでなく、製造作業の自動化を通じた省力化と生産性向上を追求するとともに、環境・安全にも徹底的に配慮した世界水準の生産設備を目指します。FJ3を通じて製造した革新的な医薬品を一日も早く患者さんにお届けできるよう、引き続き全社一丸となってイノベーションを追求してまいります」と語っています。
FJ3は高度な封じ込め技術を用いた原薬製造ラインを複数備えることで、複数品目の同時開発に対応します。また、ノンフロン設計、使用溶媒のリサイクルなど、環境負荷の低減に配慮した設備とします。安全面では、免震構造による地震対策と、火災などの事故に備えた設備設計により、万が一の事態への対応を徹底します。
中外製薬は、創薬アイディアの医薬品としての実現を支える高度な生産技術により、既存のモダリティでは解決できないアンメットメディカルニーズの充足を目指してまいります。
【藤枝工場の概要】
- 所在地 静岡県藤枝市高柳2500
- 敷地面積 216,804m2
- 業務内容 合成原薬生産、固形剤製造、医薬品包装、臨床試験用原薬製造
【藤枝工場 合成原薬製造棟(FJ3)新設工事の概要】
- 総投資額 555億円
- 着 工 2022年3月
- 建築完了 2024年2月
- 竣 工 2024年10月
- 稼 動 2025年3月
- 建築面積 2,211m2 (免震5階建)
- 延床面積 10,250m2
【合成原薬製造棟(FJ3)イメージ図】
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210726160001_1133.html