私はカイゼンコンサルタントという仕事柄、いろいろな工場を拝見しますが、多くの工場で場所が足りないという困難な状況を訴えられます。
長年にわたり工場にいると、あらゆることに目が慣れてしまって、工場の建屋をフルに活用し尽くしていると思い込んでしまっていることが多いようです。しかし探してみると工場内で利用できるのにしていないスペースはまだまだたくさんあるのです。
例えば床や壁はどうでしょうか。実は全く手つかずのまま放置されている工場は多いものです。それどころか床はデコボコで壁は傷だらけで汚いまま放置されていることもしばしばです。
床がデコボコなので、載せたモノが落ちないように注意深く台車を運んでいる様子を見ると、運搬作業をしている人が気の毒になります。注意するというのも作業です。疲れますが何の付加価値も生みません。
ゼロではないです、マイナスです。床がこれでは生産性も品質も上がらないだろうなあとお客様は思うでしょう。壁も見た目が悪く暗いので新規顧客を取れそうな魅力の発信はできません。
床のデコボコはすぐセメントを買って来て直して運搬をスムーズにしましょう。路面には運搬経路や避難経路などを描いて機能性をアピールしませんか。そして壁はスクリーンとしてプロジェクターで各種情報を表示したりしてスペースを有効に利用してみるのはいかがでしょうか。
■著者プロフィール
柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所 所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。