PS6000シリーズは従来のHMI、パネルコンピューターとして使えるだけでなく、製造現場のDXに欠かせないエッジコンピューターとしても使えるように最適な機能と性能を搭載しています。PLCやセンサーなど各種制御機器とつながるのはもちろん、MESやクラウド、上位の情報システムとも連携し、フィールド、OTとITの中間に位置するエッジ領域でIoTを支えるコンポーネンツとして利用できます。
DX時代を迎えて、どんなPLCともつながるHMIとしての産業用コンピューターから、どんな機器・システムともつながるIoT機器としての産業用コンピューターへ。PS6000シリーズは、DX時代に求められるスペックや機能を備えた製品です。引き続き、シュナイダーエレクトリックの製品担当者よりPS6000シリーズの活用事例について解説いたします。
■PS6000シリーズの活用事例
すでにPS6000を導入し、現場で活用している事例がいくつも出てきています。そのなかから2つご紹介します。
①日用品メーカーA社
PS6000とAVEVA Historianを使った不良データ分析
1つ目は、ある日用品メーカーの生産技術担当者が、生産の効率化と不良撲滅に向けて、PS6000シリーズをエッジデバイスとして使い、データ収集・分析ソフトウェアであるAVEVA Historianと組み合わせた事例です。
日用品メーカーA社の生産技術担当者は生産の効率化と不良低減をミッションとして抱えており、その実現のために不良データの分析のためにデータベースの導入を検討したが社内にデータベースの知識を持つ人材がおらずに断念。またシステムインテグレーターによる導入も検討したが、生産現場の改善サイクルが早いため、いったんシステムを導入しても陳腐化が早く起きそうだったため、これも断念。そのため自らの範囲で生産現場に設置しても安定して動作し、セキュリティーの高いサーバーPC環境を構築しようと考えました。
そこで目をつけたのが、PS6000シリーズとAVEVA Historianの組み合わせ。データベ―スの専門知識がなくてもシステムを構成でき、 改善活動の中で収集するデータ構成が変わったとしても現場の担当者でシステムの改造対応ができること、リレーショナルデータベ―スと比べて高速で安定したデータ収集ができ、データを高圧縮で保存するため、ライセンスコストを抑えられること。この2つを高く評価してPS6000シリーズを導入しました。
高いハードウェア性能のおかげで高い処理能力が必要なソフトウェアでも安定して動作させることができており、オプションでホワイトリスト方式のウィルス対策ソフトウェアを導入してセキュリティー対策も万全。当初の想定通りのシステムを高いコストをかけず構築できたと高評価いただいています。
②加工メーカーB社
PS6000でユーザビリティーの高い操作パネルを実現
2つ目は加工装置のHMIとしてPS6000シリーズを採用し、ユーザビリティーの高い操作性を実現した事例です。
ある加工装置メーカーの設計担当者は、低コストの海外メーカーの参入に対し、差別化した自社製品の開発に迫られていました。そこで彼が考えたのが、自社の知見と技術を活かし、より制御を高速・高精度化するために従来のPLCによる制御ではなく、パネルコンピューターでの制御に切り替え、同時にスマホライクな操作性を目指しました。
しかしそれにはPLCと遜色のない製造現場で使える耐環境性をもつWindows PCが必要なことと、さらにWindowsアプリケーションを各種プログラミング言語を使ってゼロから開発するための巨額のコストと膨大な時間が必要でした。またスマホのようなビジュアル性の画面と操作性を実現できるだけのスキルが必要で、社内には適した人材がいませんでした。
そこで考えたのが、最新のHMIであるPS6000シリーズの採用。組込みHMI並みの設計品質により高い安定性を実現でき、多彩な表現力と豊富な制御機器に対応するドライバーを持つ「BLUE」を活用することで高品位なHMIアプリケーションを短い期間で構築できました。またPro-faceのHMI作画サービスを使うことで、スマホのようにジェスチャー操作などを用いた美しく高いユーザーエクスペリエンス(UX)の操作画面を実現することができ、差別化に成功しました。
■まとめ
これまでPro-faceは、HMI、パネルコンピューターのはじまりとして製造業におけるHMI市場をリードしてきました。現在のDX、デジタル化のなかで、これからのPro-faceは、これまで培ってきた「なんでもつながる圧倒的な接続性」とその実績をもとに、フィールドと製造現場のITシステム、さらには上位の情報システムの間にあり、その両者をつなぐエッジコンピューターとして製造業のDX実現に貢献していきます。
PS6000シリーズはその第1弾となる製品で、これから新規モデルや各種オプションの追加・拡充を進めていきます。2021年はPS6000シリーズが持つ独自の内部拡張インターフェイス用のDIOカード、イーサネットカードを予定しており、PCIやPCIeの拡張スロットを使わずに各種通信ポートを増設できるようにし、より多くの場面や用途で使えるようにしていきます。
また当社はPro-faceに連なるものとして、エッジやデジタルソリューションの提案も強化しています。高品質なハードウェアと、自社やサードパーティー製のソフトウェアを統合した包括的なソリューションを提供し、製造業のDX、御社のビジネスのデジタルトランスフォーメーションを力強くサポートをしていきます。
PS6000シリーズは、Pro-faceの最大の強みである「機器との接続性」を、DX時代に合わせて最大限に活かしています。現場の生産ラインや産業機械に組み込んで使う、従来と同じフィールド層でHMIや表示器としての利用法と、そのひとつ上のエッジ層で現場の装置や機器とクラウド、基幹システムとの間に介在してデータを収集して処理するDXにおけるエッジコンピューターやIoTインターフェイスとしての利用法の両方に使えます。既存の表示器やHMI、産業用コンピュータをハイブリッドした画期的な製品です。
それぞれを個別に使うも良し、フィールド層でHMI、エッジ層でIoTインターフェイスとして両者を揃え、その親和性を活かしてシームレスなシステムを構築するのもまた良し。DX実現に向けた重要なキーコンポーネンツとして、PS6000シリーズは良い選択肢になるのではないでしょうか。
シュナイダーエレクトリック インダストリー事業部
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