モノづくりでは、設計図や組立図はとても重要です。
しかし、何を組み立てるのか、出来上がりはどんな色や形になるのかといった、最終形を分かりやすく示しておくことはもっと重要だと思います。
私は子供のころに小さな鯉のぼりのおもちゃを作ったことがあります。結構大きな袋の中にたくさんのパーツと組立図が入っていました。最初は組立図を見て作ろうと思ったのですが、白い紙に黒くて細い線で描いてある組立図は複雑で、子供であった私にはとても難しいものでした。ところが、袋にはカラー刷りでとても分かりやすい完成した時の形が描いてあり、それを見たら何のことはない、いとも簡単に鯉のぼりを完成させることができました。
説明書だけを見て作業していると、どの部分を作っているのか分からなくなって急に作業がはかどらなくなることがあります。ところが、私の例のように、箱や袋に描かれている完成形の絵や写真を見れば、全体像がイメージできて、説明書なしでも組み立てられたりします。
各工程に流す情報は、最終的には何を作っているのかという、出荷する際の完成形の写真やその用途などが主であり、これに部分的な細かい図や指示を合わせて流すといいと思います。現在何のどこを作っているのか…、作業する方の工程全体に対する知識も深まりいろいろなチエもでるようになると思います。
■著者プロフィール
柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所 所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。