NTNは、ロボットや自動化需要の高まりに合わせ、ロボット関連事業として、コア技術である軸受やドライブシャフトの技術を活用したロボット向け軸受、手首関節モジュール「i-WRIST(アイリスト)、複列磁気リングの製造・販売に注力している。
i-WRISTは、ドライブシャフトにモータを取り付け、それをリンク機構として組み合わせることで人の手首のように自由自在に動くことを可能にしたモジュール製品。産業用ロボットの多くが「腕」を機械化したものに対し、i-WRISTは「手首から先」を機械化し、より柔軟で自由度高く、素早く動けるモジュール製品となっている。
折れ角θ、旋回角Φの2自由度の角度を制御し、垂直多関節ロボットが持つ制御できない姿勢となる特異点を持たないことで、半球面の全方向に対してシンプルでスムーズな動きで高速位置決めができる。アクチュエータの組み合わせや産業用ロボットの専門的なティーチングで行っていた難しい動作も、これひとつで対応できるようになる。
手首のように柔軟に所定の位置まで動けるため、垂直多関節ロボットよりも高速なアプローチが可能。中空構造なので複雑な動きでもケーブルのねじれなどが発生せず、ワークの計測や検査などで何度も位置や角度を変えて撮像するような用途に最適となっている。
4点に対するアプローチ速度は、垂直多関節ロボットに対して約3倍、多方向からのアプローチでも2倍の速度で動けることが実証されている。
最大可搬重量(最大搭載質量)は1kgで、同じ動きでも同サイズの垂直多関節ロボットよりも狭い領域で動けるため、設置スペースを小さくできるというメリットがある。
平面でなく、3次元的に複雑な動きができるのが最大の特長で、複雑形状のワークに対してさまざまな角度から撮像する外観検査や、グリースや接着剤等の塗布作業、洗浄や組立等のアプリケーションに最適。逆にピッキング等の単純作業にはメリットが生まれにくいとしている。
ロータリエンコーダ代替へ 耐環境・コストに優れた複列磁気リング
複列磁気リングは、ロータリーエンコーダやレゾルバと同様に、モータ等の回転体の絶対角検出を可能にする角度センサ。iC-Haus社のセンサICとの組み合わせで使用する。中空形状の金属芯金にゴム磁石を加硫接着し、磁気トラックの位相のずれから絶対角を検出できる仕組みになっている。
薄型軽量で、中空大口径、最大20bitの高分解能、チリや埃、振動、高温、ミスト等に対する優れた耐環境性が特長。光学式ロータリーエンコーダやレゾルバとの比較では、汚れや過酷環境下での使用に強いほか、価格的にも低コストとなっている。
産業用ロボットの関節部分のほか、各種製造装置、産業機械などサーボモータが使われる領域全般に対して適しているとしている。