半導体や樹脂材料の不足とそれに関連する電子部品や機器の納期遅延、さらには自動車の減産と、直近では需要やニーズの高まりに対して部品供給が追いつかない悪いサイクルが来ているが、それでも長期的に見ればデジタル化の進展によって電子部品の見通しは明るい。
富士キメラ総研の「Society5.0を実現する電子部品の世界市場を調査」によると、センサや通信、精密制御などの関連部品の世界市場は、2021年は20年比15.1%増加の4兆2887億円で、27年には2.3倍となる8兆4610億円まで拡大する見通しだ。Society5.0では、IoTや自律制御型のロボットや自動運転車、AI、ビッグデータなどの技術が中核で動き、そこに使われる電子部品の需要増加が見込まれている。
注目分野の第一はセンシング・非接触HMI関連で、21年の1兆4206億円から27年には3兆1579億円で2.5倍に拡大。自動運転向けのミリ波レーダーの市場が最も多く、今後の高い伸びと予想。空中ハプティクスデバイスは、コロナ禍によるニーズ拡大で採用拡大が期待される。
無線通信関連もSociety5.0の重要デバイスで、自動運転や物流、インフラ監視用途などでLPWAの拡大を予想。市場規模も1兆961億円(21年)から2兆2808億円(27年)になる見通し。またノイズ対策関連部材も1兆7212億円(21年)から2兆8320億円(27年)と急伸。自動車への搭載数の増加やIoT化で積層セラミックコンデンサが増加する見通し。
また精密制御部品も、データセンターでのHDD向け需要が拡大しているピエゾアクチュエータのほか、繊細で柔らかな動きをするロボット用筋肉として空気圧ゴム筋肉なども注目されている。