アンゴルモアの大王が空から降ってきて、1999年に人類は滅亡するという「ノストラダムスの大予言」をはじめ、90年代から2000年代前半はオカルトや超常現象、スピリチュアルなど日本中がオカルトブームだった。
当時は予知や予言というと、それらの怪しい予言者が行うもので、どこか胡散臭いイメージがつきまとっていた。そこから20年あまり、製造業で「予知保全」の技術が確立して認知され、予知や予言といった言葉がオカルトのイメージを脱却できたことに改めてホッとしている。予知や予言、予測はオカルトではなく科学である。蓄積したデータから未来は推測できる。これが現代の常識だ 。
「私たちの身近なところに未来予測は溢れていて、私たち自身も普段からそれを使っている」。先日、エプソン販売とロボットSIerのチームクロスFA(TXFA)の共催セミナーで、TXFAの天野眞也代表はこう語っていた。氏曰く「いつも私たちが使っているGoogleマップも一種の未来予測である」とし、Googleマップで経路検索をすると、リアルタイムの道路状況などの膨大なデータを分析し、ほぼ正確で狂いのない道順と到着予想時刻を表示してくれる。
確かに到着予想時刻はちょっと先の未来の予測だ。知らぬ間に自分も未来予測の能力者になり、その恩恵を受けていたようだ 。
いまは不確実で不透明なVUCAであり、先は見通せないという話をよく聞くが、そんなことはない。すでに私たちは未来予測の能力を手にし、普段から近い未来を見通している。未来が見えれば、悪い方向やリスクを取らないように道を調整し、良い未来、成功に向かって歩くだけだ。デジタル技術、データ活用の本質は、単なる業務プロセス効率化ではなく、未来予測によって成功に導く力。そこに気づくか、気づかないか。それを手にするか、見過ごすか。未来の分岐点はそこにある。