令和の販売員心得 黒川想介 (58)夢を実現させる「戦略的目標」計画の実行を鑑みて修正する

物事を成す時にPLAN・DO・SEEを回すという言葉をよく聞く。まず計画を立てる。そして実行し、その結果を検討するというやり方である。販売店や営業部門が計画を立てる時に①顧客や市場の情報を収集して、分析検討を行う。②それを基にして計画を立てる。③計画に基づき実行する。④進捗を管理する。⑤その結果を検討する。⑥検討後に手直して更に次のプランに反映させる。

というのがPLAN・DO・SEEを回すというやり方である。まずもってプランを立てるという事は難儀な仕事である。経験と取り巻く状況を基に計画を立てればいいといった楽な仕事ではない。

しっかりした計画があれば成ったも同然と言われるように計画は思いつきや取り合えず立てるというような軽い考えでは成功しない。だから計画の基になる情報の量が十分である事と目的に即した分析をしっかり行う事をないがしろにはできない。営業単位で計画を立てる時は販売員の入手する情報が基になる。機器部品営業が市場を粗けずりながらも形づくってきた昭和とは違って、平成は築かれた市場をきめ細かに管理する営業になった。したがって平成から続いている販売員の情報収集は商談テーマに直接かかわる情報の入手が専らである。

だから販売員の情報に基ずく計画は顧客の業種別に立てるか商品別に立てるかになる。計画を実行する段階では商談テーマの発見と発見したテーマの取りこぼしがないように色々な営業手段を講じる。そしてその結果を検討する。検討の結果の手直しでは商談テーマに戻って、少なければ発見を強化する計画となる。例えばどの業種の顧客に注力するか。どの商品の売り込みを強化してテーマをふやすか等である。つまり計画の基になる情報が商談テーマに片寄り過ぎるのが特徴である。この様な情報収集は市場を築いていく時の営業活動ではなく、築かれた市場をきめ細かに取りこぼしのないように進捗を管理する管理型営業のPLAN・DO・SEEである。

FAの世界では複雑な自動制御で工場が動いているが基本的にはシーケンス制御でありフィードバック制御で動作をしている。シーケンス制御はあらかじめ決められた通りに順次動作をさせることであり、フィードバック制御は順次動作から何らかの信号があって外れた場合に制御装置が働いて正常な順次動作に戻すことである。つまり決められた通り正常に動作する様に管理されている。

このフィードバックに対して令和時代にはフィードフォワード制御が盛んになって行く。フィードフォワードとは正常に戻す制御装置に情報技術がプラスされて、単純に順次動作に戻すのではなく、各々の機械装置から入ってくる情報に基づいて動作を変えて動くことになる。営業のPLAN・DO・SEEにも手直ししながら次の目標を決めていくフィードバック型だけではなく、次の目標は大目標に即したフィードフォワード型だけではなく、次の目標は大目標に即したフィードフォワード型のPLAN・DO・SEEが必要になる。

フィードフォワード型のPLAN・DO・SEEを回す時に十二分に検討すべき事は大目標である。大目標とは成長を維持させるための戦略的目標であり、将来の夢を実現させる戦略的目標でなければならない。その様な大目標を持っていれば毎月や毎朝に計画を立て計画を実行して、その結果を検討した後、うまくいかなかった部分を手直しして次の計画に反映させる際に大目標に照して根本的に直すことができるのである。つまりうまく行かなかった計画の部分修正して正常に戻すのではなく、大目標に沿った変更が視野に入ってくるのだ。

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