日本政策金融公庫総合研究所は、2021年度の中小製造業設備投資動向調査の結果を発表した。2021年度の国内設備投資額は、2020年度実績に比べて6.4%の増加。4月に調査した21年度の当初計画から比べても14.2%の増加となった。ワクチン接種の広がりによってコロナ禍がおさまって来たことから、先行き見通しと設備投資意欲が湧き上がり、回復基調に転換。しかし19年度実績までは届かず、本格的な回復は来年以降になりそうだ。
2021年度の国内設備投資額は、4月調査時点の当初計画では前年度比6.8%減となっていたが、9月の修正計画では6.4%増とプラスに転換。半年でコロナ禍の状況が大きく改善したことが投資意欲を後押しした。特に下半期の計画は15.1%増と強気な数字が出ており、当初計画との比較でも27.8%増と大幅に増加している。
業種別に見ると、前年度実績に比べ、全17業種中9業種で増加となった。特に投資金額の多い業種のうち、金属製品(6.5%増)、生産用機械(31.2%増)、輸送用機械(18.8%増)、プラスチック機械(36.3%増)、電気機器(17.3%増)は増加。食料品(9.9%減)、化学(2.0%減)は減少の見込みとなった。また非鉄金属(37.6%増)、はん用機械(31.3%増)、業務用機械(35.9%増)、繊維・繊維製品(68.6%増)は大幅な増加となり、積極的な設備投資を計画している。
設備投資の内容は、機械・装置が13.6%増。土地(10.5%減)、建物・構築物(1.3%減)はマイナスとなった。
投資目的は、「更新、維持・補修」の構成比が36.5%と最も高いものの、前年度からは低下。一方で「能力拡充」や「新製品の生産、新規事業への進出、研究開発」などの構成比が上昇している。
同調査は、4月と9月の年2回行っており、従業員20人以上300人未満の中小製造業5万2163社から4月調査では3万社を選定し、9月調査では4月調査の有効回答先を対象としている。今回は有効回答数7107社から回答を得た結果となる。