小さな仕事はパソコンで、大きな仕事は模造紙で。
新型コロナウイルス感染拡大に起因する多くの問題対応で、いろいろな大きなプロジェクトが政府主導で進められています。しかし中には進捗がモタモタで見ていてとても歯がゆい思いをさせられるプロジェクトも多いですね。
大きなプロジェクトになればなるほど、多くの人がかかわり、準備も手配も複雑になっていき、共同作業や社外スタッフとの連携も発生してきます。
大人数で物事を進めていく時に大切なことは「一覧性」です。自分たちはいつまでに何を完成させて、それをどこの誰に渡すのか。隣で何が行われていて、いつ連携が必要になるのかなどは、パソコンの小さな画面でリアルタイムに把握するのはとても困難だと思います。仕事には常に「滑った転んだ」がありますが、その複雑な変化に対してタイムリーな情報共有ができれば上手な対応ができますね。
大きな仕事にはできるならば専用の部屋を用意してください。プロジェクトルームです。そしてすべての情報を模造紙に書いて端から順番に貼っていけば、進行状況は経過も含めて一目で分かります。途中での修正や変更があったとしてもその経緯が分かるし、スタッフ全員が同じ紙を見て指をさしながら効率的な議論をすることもできます。
一方、日々の受注処理や集計、そして生産計画、棚卸し…などに必要なのは「正確性と連携性」です。紙や電卓などを使っていると、担当者によって仕事にバラツキが出ることは避けられないし、業務間での数字の整合性などの連携はとても難しくなります。
パソコンでの仕事はどこでもできていますが、模造紙の仕事はあまりできていないように思えます。アフターコロナで大きな変化をみんなで起こす必要が出てくるのですが、メールなどのパソコン中心の仕事のやり方だけではうまくいかないことが多い可能性があります。どうぞ今回の私の提案のご検討をお願いします。
■著者プロフィール
【略歴】柿内幸夫 1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授。著書「カイゼン4.0-スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など。
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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https://www.kaizenproject.jp/