日揮ホールディングス(日揮HD)と横河電機は、日揮が建設工事を遂行している国内建設現場において、ブロックチェーンと行動経済学を活用したトークンシステムにより、現場作業者の行動特性を可視化しモチベーション向上を目指す実証実験を実施した。
大規模なプラント建設工事現場では、土木、建築、電気、計装など多様な職種の現場作業者が、複数の企業から派遣され建設工事に大量に従事するため、現場作業者の目的意識の共有、作業効率化や工事安全の向上へ自発的な行動の促進が課題となる。
日揮HDと横河電機は2021年2月~7月、日揮が宮城県石巻市で遂行中のバイオマス発電所建設プロジェクトで現場作業者の行動を可視化し、好ましい行動を促進するシステムを試験的に導入した。システム導入にあたって好ましい行動特性として、「チームワーク」「安全重視」「明るい行動」の3つを定義。
それらの行動特性を発揮した現場作業員に対して監督者がトークンを付与し、現場作業員と監督者のコミュニケーションのルートや頻度などを見える化したシステムを構築した。
システムの構築と運用にあたって、行動経済学に基づいた設計を行い、監督者からのポジティブな声かけや表彰などの心理的効果も取り入れ、また、トークンの付与記録には、ブロックチェーン技術を活用し改ざんを防ぎ、作業者別の付与履歴を追跡することを可能にした。
20年年初以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、日揮が国内建設現場で従来行ってきた「いいふれあい運動」の活動が制約される中、このアプリケーションの使用で、感染予防対策として一定の距離を保ちながら、現場作業員と監督者や現場作業員同士のコミュニケーションを促進でき、導入現場から高い評価を得た。
両社は、本実験終了後も本システムを同建設現場で継続的に運用し、有効性を検証するとともに、日揮グループのほかの国内建設現場および海外プラント建設現場のほか、保全作業現場等へ展開していくことも検討している。