WSTS(世界半導体市場統計)は、2021年秋季半導体市場予測を発表した。
21年秋季の半導体市場予測会議は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、今回も開催中止となったことからWSTSに加盟している半導体メーカーは45社から提出された予測の平均値を基に作成した。
【世界半導体市場動向】
20年の世界半導体市場は前年比プラス6.8%であった。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり需要が牽引し、世界経済の低迷による影響を打ち消した。
21年は前年比プラス25.6%と成長が大幅に加速し、市場規模は過去最高を更新すると予測した。
20年に半導体市場を牽引したプラス要素が継続し、またワクチン接種の進展に伴う経済活動の再開もあり、半導体は幅広く需要が強いためである。
22年は前年比プラス8.8%と予測した。足元においても多くの用途で半導体需要が旺盛であり、この傾向が当面は継続するとみている。なお、米ドル1に対する円の為替レートは、20年:106.8円、21年:109.0円、22年:110.0円を前提としている。
パンデミック以降、在宅勤務・授業等に必要なパソコンやタブレット、WiFi機器等の需要が増え、また家庭で楽しむエンターテインメントとしてビデオ配信やゲーム機の需要も拡大した。
スマートフォンの5G化も進み、インターネット上を行き交うデータ通信量が飛躍的に増大することになり、クラウドサービス等のインフラ投資需要も高まった。
結果的に半導体市場にはプラス要素が多く、パンデミックによる世界経済低迷の影響が打ち消された形となった。
この傾向は現在も継続しており、加えてロックダウンの解除やワクチン接種の進展に伴う経済活動の再開により、前述要素以外にも自動車・産業用途など幅広く半導体需要が拡大した結果、21年は高成長が継続している。足元は一部の電子機器生産が弱含んでいるものの、エンドマーケットの需要は引き続き強いとの見方から特段の反動減を想定せず、22年はさらなる成長が予測されたものと思われる。
【製品別市場動向(世界市場)】
21年における製品別のドルベースでの市場は、ディスクリートは前年比プラス26.4%、市場規模301億ドル、オプトは同プラス7.0%、市場規模432億ドル、センサーは同プラス25.6%、市場規模188億ドル、IC全体は同プラス27.6%、市場規模4608億ドルと予測した。
ICの製品別では、メモリは前年比プラス34.6%、ロジックは同プラス27.3%、マイクロは同プラス13.5%、アナログは同プラス30.9%と予測した。
22年には、ディスクリートは前年比プラス7.2%、市場規模323億ドル、オプトは同プラス6.4%、市場規模460億ドル、センサーは同プラス11.3%、市場規模209億ドル、IC全体は同プラス9.0%、市場規模5023億ドルと予測した。
ICの製品別予測では、メモリは前年比プラス8.5%、ロジックは同プラス11.1%、マイクロは同プラス6.2%、アナログは同プラス8.8%と予測。
【国内の半導体市場動向】
20年の円ベースでの国内半導体市場は、前年比マイナス0.6%、金額では約3兆8934億円であった。
21年は円ベースで同プラス22.0%と反転して、市場規模約4兆7486億円に、22年は同プラス4兆7486億円に10.3%、市場規模は約5兆2395億円になるものと予測した。なお、国内市場が最後に5兆円に達したのは08年である。