国際ロボット連盟(IFR)が公開した世界のロボット市場動向「WorldRobotics2021レポート」によると、現在、世界中の工場では300万台の産業用ロボットが稼働し、前年から10%増加。また2020年は世界がコロナ禍にあるなかでも38万4000台が出荷された。21年は43万5000台と予測しており、この数字は18年の42万2000台を上回る、過去最高になる見通しだ。
24年には50万台見込む コロナ禍の2020年苦戦した日本と大幅増加の中国
アジアは産業用ロボットの世界最大の市場で、20年に新たに配備された産業用ロボットの71%がアジアでの設置だった。特に中国へは前年から20%増の16万8400台が出荷され、1つの国の数字としては過去最高。運用在庫は94万3223台となり、21年中に100万台を突破する見込みだ。
日本は中国に次ぐ2番目のロボット市場だが、20年はコロナ禍で23%減となる3万8653台だった。自動車や電子機器製造業の需要が低迷した。運用在庫は37万4000台となった。
3番目はアメリカ。南北アメリカで最大の産業用ロボット市場で、この地域の79%はアメリカが占める。出荷台数は8%減の3万800台。自動車業界向けは大幅に現象となったが、エレクトロニクス業界向けが7%増加。運用在庫も15年以降、年率6%で増加している。
4番目は韓国。出荷台数は7%減の3万506台。稼働在庫は6%増の34万2983台となっている。
ヨーロッパは8%減の6万7700台。自動車産業の需要が20%減だったが、一般産業で14%増となった。ヨーロッパでもっとも多いのがドイツで2万2300台。パンデミックで難しい状況にありながら過去3番目の数字となった。一般産業や製造業以外の低コストロボットの需要に支えられて成長すると見込まれている。
Brexitで注目されるイギリスは、8%増の2205台。自動車産業は16%増の875台となり、飲食料品業界も304台となり、19年比で倍増。東ヨーロッパからの外国人労働者がコロナ禍で帰国してしまったこととBrexitによって人手不足が深刻になっていて、今後21年と22年には2桁成長が見込まれている。
21年以降も順調に拡大の見通し
21年は世界各地でコロナ禍から回復してロボット需要も旺盛となり、21年の出荷台数は13%増の43万5000台になる見通し。内訳は、日本や中国を含むアジアが30万台、ヨーロッパが7万3000台、北米が4万3000台となり、世界の各地域で好調が予想される。
日本は、21年のGDP成長率は3.7%と見込まれ、ロボット市場は7%成長し、22年にも5%成長すると予想されている。日本のロボットメーカーは海外市場で需要を確保すると見られ、特に36%を占める中国、22%を占めるアメリカ向けで期待が大きい。
韓国は、21年に4%、22年に3%のGDP成長が見込まれ、電子産業と半導体産業に多額の投資を行っている。エレクトロニクス産業と自動車サプライヤーの両方からロボット需要があり、21年には11%の成長、その後の数年間も年平均で8%の増加が予想されている。
北米も前向きな見通しで、強力な回復が進行中。21年はコロナ禍前のレベルに復帰すると見られ、産業用ロボットは21年に17%の成長を予想している。
コロナ禍後の産業用ロボットブームは、21年から24年まで数%成長が見込まれているが、22年か23年に若干の減速の可能性を示唆している。とはいえ、24年には世界出荷台数は50万台が見込まれている。