【FA製造業界2022】付加価値高い製品を追求 日本産業機械工業会 斎藤会長[年頭所感]

2022年を迎えるに当たり、新年のご挨拶を申し上げます。皆様には、気分も新たに新年を迎えられたことと思います。昨年を振り返りますと、コロナ禍で開催した東京オリンピック・パラリンピックでは、多くの日本人選手が活躍し、世界中の人々に感動や希望を与えることのできた歴史に残る大会となりました。また、米国大リーグでの大谷翔平選手の活躍に世界中の人が胸を熱くし勇気をもらった一年だったと思います。

なお、年初から全国で感染が拡大した新型コロナについては、8月下旬以降、新規感染者数が減少傾向に転じております。9月末には全国の緊急事態宣言及びまん延防止など重点措置がすべて解除され、行動制限も段階的に緩和しておりますが、新たな変異株「オミクロン株」が確認されるなど、先行きを楽観視できない状況が続いております。

経済面では、12月に発表した日銀短観によりますと、全産業の業況判断指数が新型コロナ感染拡大後、はじめてプラス圏になったものの、大企業製造業の同指数では6期ぶりに改善が止まるなど、エネルギーや原材料の高騰、感染の再拡大の影響によっては、今後業況が下ぶれる可能性もあります。

一方、世界経済は、国や地域によってばらつきはあるものの、ワクチン接種が普及したことで社会経済活動が徐々に再開し、欧州や米国を中心にコロナ危機による落ち込みから回復しつつありますが、引き続き感染の再拡大などが懸念され、先行きは不透明な状況が続くと予測されております。

私ども日本産業機械工業会としては、政府や自治体の要請・指示を受け、会員各社の協力により、感染防止対策を徹底しつつ、事業活動の維持・継続に努めました。

なお、2021年度上半期の産業機械受注については、国内では製造業向けの受注が堅調だったのに加え、外需も中国を中心に新型コロナ感染症の影響からの持ち直しがみられたことから、受注額が2兆2687億円、前年同期比107.2%と3年ぶりに前年同期を上回る結果となりました。新型コロナの感染再拡大などの影響が懸念されるものの、今後も受注環境の改善が続くと思われます。

さて、2022年は、新型コロナ感染拡大による経済への影響が徐々に緩和され、世界経済が回復に向かう復興の年になることを願いますが、欧米を中心としたインフレリスク、エネルギー・原材料価格の高騰、半導体不足、米中の政治・経済的対立の長期化に加え、変異株の感染拡大など世界経済の回復を妨げる要因が存在しております。また、世界規模の気候変動問題に対する国際的な関心の高まりを受けて、全世界でサステナビリティを重視する流れが加速しています。

こうした中、我々産業機械業界としては、引き続き感染拡大防止に細心の注意を払いながら、事業活動の継続を最優先に努力していくとともに、台風や豪雨など多発する自然災害に対応して、社会インフラの老朽化対策に資する新技術やシステムを創出するなど、防災・減災と国土強靱化に貢献していきます。

併せて、たゆまぬ技術革新やこれまで培った経験により、他国をしのぐ高付加価値製品・サービスを追求し、デジタル化の推進、カーボンニュートラルの実現、強固なサプライチェーンの構築、イノベーションの促進、さらにはイノベーションを担う人材の育成など、社会や企業が直面している課題の解決に貢献していきます。

特に、カーボンニュートラルについては、産業機械業界にとってネガティブなものとして捉えるのではなく、ポジティブなもの、むしろイノベーションのチャンスとして捉えていきたいと考えます。更なる省エネを推進するとともに、水素、アンモニア、CCUSなどのグリーン・イノベーションの加速により、新たなビジネス機会を獲得し、わが国のみならず、世界全体のCO2削減に貢献していくことが益々重要になってくると考えます。

政府におかれましては、新型コロナ感染の再拡大に備えて、医療提供体制の確保、ワクチンや治療薬の国内開発などに万全を期していただくとともに、ウィズコロナの下、一日も早く安全・安心を確保した社会経済活動の実現を目指していただきたいと思います。

さらに、アフターコロナを見据えた経済構造の転換と好循環の実現に向けて、2050年カーボンニュートラルに向けたクリーンエネルギー戦略の推進、官民一体となったデジタル化の推進、企業の生産性向上といった重要課題に対して、スピード感を持って取り組んでいただくことを期待しております。

年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

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