産業用コンピュータのアドバンテックと、ソフトウエアモーションコントロール技術のモベンシス(旧社名ソフトサーボシステムズ)は、PCベースのソフトウエアモーション分野で協業し、半導体製造装置や産業用製造装置向けに高速多軸同期モーション制御やフィールド通信制御のプラットフォームを提供開始する。従来の専用ハードウエアベースの制御に対し、産業用PCとソフトウエアベースの新しい制御スタイルに注目が集まる。
アドバンテックは産業用コンピュータのトップメーカーとして幅広い製品ラインアップを持つ。PC制御コントローラ「AMAX」は、装置向けの幅広い性能、拡張性を持ち、コンパクトなサイズで高さ10センチメートル、DINレール装備制御盤内に容易に取り付けが可能。本体取り付けできるスリムI/Oは12ミリメートルの薄さで取り外し可能なプッシュイン端子を採用している。フロントLEDでの視認でき、デジタル・アナログ入出力等の豊富なSlaveIOを制御盤にそのまま装着可能な分散型EtherCATI/Oモジュールも提供している。
一方、モベンシスはソフトウエアモーションに強みを持ち、同社の「WMX3」は、同社が独自開発した産業用フィールドバスソフトマスタを搭載したソフトモーションコントローラ。既存のハードウエア型のモーションコントローラのように複雑な配線がいらず、年々高性能化しながら汎用的で入手しやすいパソコンCPUの超高速演算能力を最大限に生かし、従来のモーションコントローラでは不可能な制御性能の実現を可能にする。
最大128軸を最速0.125msでリアルタイム同期制御できるほか、EtherCAT通信からモーション、I/O制御まで必要な機能を網羅し、ユーザー独自のモーションコントロールアプリケーション開発が加納。汎用的なプログラミング言語で複雑な制御プログラムも簡単に作成でき、ガントリ制御や豊富な加減速プロファイルなど、高度な機能を簡単に利用できる。
ソフトマスタは同社独自のフィールドバス通信技術で、イーサネットベースのソフトウエアタイプのフィールドバス通信技術であるEtherCAT、CC-LinkIETSN、MECHATROLINK-4に対応している。
モベンシスの梁富好社長は「EtherCATモーションコントローラWMX3は、すでに多くの半導体製造装置メーカーに採用されている。WMXの特徴はNCボード等を一切使わずに、PCのCPU上で高速高精度モーションコントロールを実現したソフトモーション技術であり、必然的に産業用PCメーカとの提携が重要になる。半導体製造装置メーカ等のユーザーは、モーションコントロール・ソフトウエアだけでなく、高性能で安定性が高く、さらにグローバル規模でサポートを得られる産業用PCを望まれており、アドバンテックのAMAXコントローラはWMX3にとって最適なPCプラットフォームになる。
アドバンテックにはAIを活用したさまざまな産業用アプリケーションソフトウエアもあり、モータやセンサー等のフィールドデータを実時間で収集できるWMX3と組み合わせることによって、精度の高い予知・予防保全を実現できる。今回のアドバンテックとの協業によって、世界中の装置メーカーに最適なモーションコントロール・ソリューションを提供できるようになる」とコメント。
アドバンテックインダストリアルIoT事業部・事業本部の古澤隆秋統括は「PC制御機器のゲームチェンジャーとして、従来型のPLCのようなI/O対応に加え、Vision(画像処理)やMotion(モーション処理)を複合させ、さらにデータベース化、AI処理、クラウドプラットフォームとの連携を可能としている。今回のモベンシス社のWMX3は豊富なプロトコルをサポートし、Vision連携およびロボット連携も可能にした最先端・最強のプログラミングツール。
モベンシス社と共に、新たなビジネス世界をノックし、多くの方々にPC制御の本来の姿をご提供できるように尽力する」としている。