日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、2021年度から23年度にかけての半導体・FPD製造装置の需要予測を発表した。21年度は新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンの混乱や部品調達の影響はありつつも、半導体製造装置とFPD製造装置ともに堅調に推移。半導体製造装置は、21年度に40%増と急拡大し、その後もファウンドリーの投資増加を受けて拡大。FPD製造装置も3年連続で拡大が続き、23年度には半導体・FPD製造装置合計で4兆2000億円と予測している。
半導体需要は今後も拡大が続く
半導体産業の見通しは、スマートフォンの総台数需要は安定し、5G対応のハイエンド品の比重が上昇。パソコンは世界的なテレワーク特需の反動や部品不足の影響から台数は伸び悩んでいるが、Windows11やゲーミング需要の拡大により、搭載されるCPU/GPUの高度化やメモリーの高容量化が進む。DRAM規格ではDDR5への世代交代が始まり、NANDフラッシュはさらなる3D構造の高層化で大容量化が進む。データセンターは、ハイパースケーラーの設備投資意欲は旺盛で、最先端品とともに特に需給がひっ迫しているレガシープロセスでの増産要求も高まっている。
またカーボンニュートラル実現に向けて半導体の高機能化と低消費電力化が求められ、特にパワー半導体の重要性が再認識され、AI用半導体の進化と併せてパワー半導体に期待が高まる。
WSTSの11月発表によると、21年の世界半導体市場成長率は、25.6%増と高い成長を見込み、特にメモリーは2021年34.6%%増、2022年8.5%増と高い伸び。ロジックも21年27.3%%増、22年11.1%増。半導体全体で2022年は8.8%増で、2年連続で最高記録を更新する見込み。
設備投資も、2019年から続くロジック・ファウンドリーの積極投資が、2021年はさらに大規模で加速し、加えてDRAM・NANDフラッシュの投資復活が上乗せ。中国・台湾・韓国が好調を維持している。
FPD産業は、PC・タブレット・モニターに使われるITパネルの品薄は継続中で、逼迫感が出ていたTV用大型パネルは価格下落が続いている。21年度の設備投資は、21年度は1.3%増。22~2023年度は、大型案件は少ないもののITパネルをG8.6クラスの大型基板の量産や、新しいパネル製造技術の採用を考慮し、安定成長を見込んでいる。
製造装置需要も右肩上がり続く
21年度から23年度の日本製半導体・FPD製造装置の市場は、21年度は34.4%増の3兆8267億円。2022年度は5.3%増の4兆300億円、23年度は4.2%増の4兆2000億円と予測。4兆円の大台はSEAJの統計開始以来初めて。
半導体製造装置に限ると、21年度はファウンドリー、DRAM、NANDフラッシュがいずれも伸びて40.8%増の3兆3567億円。22年度も5.8%増の3兆5500億円、23年度も4.2%増の3兆7000億円と安定成長を見込んでいる。
FPD製造装置は、21年度は1.3%増の4700億円。22年度は2.1%増の4800億円。2023年度は投資額の増大を見込んで4.2%増の5000億円と予測している。