IIFES2022のリアル展はコロナ禍の難しい状況下で行われ、これまでとは全く異なる風景を前にいろいろと考えさせられた。デジタル変革で製造業界が変化し、かつコロナ禍でオンラインやリモートが存在感を高めるなか、これからの展示会、特にリアル展はどうなっていくのだろうか?
日本における展示会は長年、その場で商談や受注をとる場というよりも自社の製品・技術を見せる場としての色合いが強く、名刺やアンケートなどのリードを獲得し、新規顧客を探す場として活用されてきた。しかし近年は、デジタルマーケティングの進化によってリード獲得の主流はそちらに移り、リアルな展示会を行う意味、出展する意味がボヤけてきている。加えてコロナ禍によって展示会の目玉コンテンツであったセミナーや講演会はオンラインが主流になり、企業は出展する意義を見いだせなくなっているのは事実だ。その意味では、展示会にも変革、DXが必要な時代がやって来ている。オンライン展のような小手先の見せかけのDXではない。本当の意味の「展示会DX」で新しい展示会像を示す必要がある 。
新しい時代の展示会は、もっと視座を高く、製造業界と出展企業を高みに引き上げるようなものにならなければならない。例えば、決裁者同士の濃い商談会やその場で購入や契約できるような営業での活用や、普段は付き合いのない技術者とじっくり話し合える技術交流会、就職を希望する学生や求職者をブースに招いて見学会と会社説明会を行う人材採用での利活用など、さまざまな部署の活動を展示会と絡めることで、これまでとは全く異なる成果が期待できる。
リアル展示会は、自社の顧客とそれ以外の人、サプライヤーや商社などの取引先、競合企業、一般社員から経営者、就職を希望する学生まで、さまざまな立場の人とモノが集まる唯一の場。販促・営業のためのリード獲得だけで使うのはもったいない。視座を高く、固定概念にとらわれなければ、これほど多彩な使い方ができる場はそうそうない。