どんな機械や道具も使い方を誤れば人やモノを傷つける危険物になる。操作技術と安全知識は一心同体。機械で利便性を得るには、操作技術と安全知識のバランスが大前提であり、どちらかに偏るのは良くない。それは街を走る車を見れば明らかだ。自動車免許は、車を運転する技術と、交通安全のルールを学んだ人に付与される。操作と安全を学び、ルールやマナーを身につけた人が運転しているからこそ普段の交通が成り立っている 。
技術の進化により、簡単に操作できるロボットが増えてきて、それに関心を寄せる人も増加している。とても良い事だが、一方で利便性や手軽さばかりが強調され、ロボットを安全に正しく使うためのルールやマナー、注意喚起が弱くなっていることを懸念している。例えば協働ロボットは、衝突防止のセンシングや動作速度の制限などロボット本体で安全が担保されている。しかし任せる仕事によっては、ハンド先端がとがっていることや、搬送物が大きく重いことがあったりとロボット本体以外の部分で危険が出てくることもある。
ロボットを現場で安全に取り扱うには本体以外のシステム全体で見た場合の危険性、リスクを考える必要があるが、これはロボットを操作する技術とは別の、使う上での安全知識の領域だ。今後はロボットを初めて使う、現場に入れる人が多くなるからこそ、こうした安全に取り扱うための知識を共有し、ユーザーの「ロボットリテラシー」を高めることが大切だ 。
ロボットを現場に導入して使う際には、必ず特別教育を受けよう。それがたとえ義務ではない協働ロボットや小型ロボットであっても例外なく特別教育を受講して、ロボットを安全に使うためのルールやマナーを学ぼう。安全を学ぶことが自分や同僚の身を守り、自社や取引先を利することになり、最終的には自分に戻ってくる。さらには、事故を起こさないことがロボット産業の発展につながり、より便利な世の中、製造業をつくっていく。
特別教育も、いまなら学科はオンラインで手軽に受講できる。さらにオンデマンドなら、より効率的に学ぶことができる。サステナブルで持続可能な製造業の実現には、安全を学んで事故を起こさない「安全第一」が必須。人へのやさしさを第一に考え、ロボットリテラシーを高め、人とロボットが安全に働ける現場づくりを進めよう。