新たなビジネス、新たな雇用を生み出してこそ真のロボットフレンドリー

「ロボットフレンドリー」は、ロボット普及のために経済産業省が提唱している考えで、ユーザーの業務フローや施設環境を、ロボットが導入しやすく、働きやすい環境へ変えていこうというものだ。これが広く浸透すれば、ロボットシステムを一品もので作る必要がなく、低価格化でき、より普及につながるとしている。とても良い考え方で大賛成だが、一方で不満もある。いま現場を支えている作業者の未来をどうするのかという問題だ 。

現場にロボットが導入されることについて、現場の作業者はどう思っているのだろうか? 作業が効率的になって喜ばしいが、無条件には歓迎できないというのが正直な感情ではないだろうか。数年前に「AIによってなくなる仕事」が話題になったが、それはロボットでも同じことが言える。ロボット導入が進めば作業者の仕事は減っていく。ロボットは仕事を助けてくれる仲間でありながら、ライバルでもあるのだ。

ロボットが普及することによって人は単純作業から解放されてクリエイティブな仕事に能力を生かせると言う人もいるが、ではクリエイティブな仕事とは何か? それは大量にあり、誰でもできる仕事なのか? このあたりはとても曖昧で、実現可能性は甚だ疑問だ。「ロボットで人手不足を解消し、生産性を上げる」。これでメリットがあるのは企業や経営者であり、現場の作業員にとってのうま味は少ない。ロボットフレンドリーな社会の実現というのであれば、ロボットによって仕事を失う可能性がある人たちに対しても、新たな仕事や役割、または別の雇用の道を示していく必要があるのではないか 。

時代は少量多品種化へと進み、ロボットの導入台数は今後も伸びていく見通しだ。ロボットの調整や設定変更の頻度・件数が増えるのは確実であり、将来的には1現場に最低1人はロボットの面倒を見られるような人材が必要になってくる。そうなると、現場でロボットを使いこなし、サポートする人。そこにこそ現場作業者の未来、新たな役割が見えてくるのではないだろうか。例えばロボットの特別教育の受講に補助金を出して学びやすくし、現場でロボットを取り扱える人を増やしていく。

将来に向けてそんなことも有効だろう。単にロボットの導入を増やすだけでなく、ロボット産業全体を底上げして厚くする。そして新たなビジネスや収益、雇用を生み出していく。「ロボットであらゆる人を幸せにする」これこそがロボットフレンドリーな社会と言えるのではないだろうか。

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