FA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)は、会員各社にロボットSI事業についてのアンケート調査を行い、結果を公表した。2021年は20年に比べてロボットSI業務への引き合いも売り上げも増加傾向にあり、ロボットシステムを取り巻く環境は成長している様子。しかし技術者不足の深刻化は進んでおり、採用も難航しているなど課題感が明らかになった。
調査は、SIer協会の会員企業207社を対象に行い、149社から回答を得た。回答者のうち4割以上がロボットSIerとして10年以上のキャリアを持つ企業で、5年から10年が2割、1年から5年が3割弱となっている。
調査によると、21年はロボットSI業務への引き合いが増えた企業が半数を超え、特に自動車産業と食品、半導体・電子部品関連からの引き合いが多かった。大企業が中心だったが、中小企業からの引き合いも多くなっている。引き合い獲得のルートは、展示会を含む自社の営業効果が一番多く、次いで商社からの紹介、ロボットメーカーからの紹介と続いた。売上に関しても、20年に比べて増加したという企業が4割を超え、3割強が利益も増加傾向にあると回答した。
単純に引合数・受注数が増加したことはもちろんのこと、自社でロボットの展示場の開設したことや、シミュレーションソフトの活用で事前検証を行ったこと、SIerとしての知名度が高まったことなどが功を奏したとしている。一方で、競争が激しくなってきたこと、コロナ禍による設備投資の減少、材料費の高騰、引き合いに対する具体化率の低下なども見られるとした。
技術者の過不足感については、不足と非常に不足という回答で9割を超え、5割の企業が採用数は増やしていく意向を示している。特に企画構想や仕様定義といった一番初めの工程を担える人材の不足感が強く、続いて機械設計、電気設計、システム制御(PLC)等の専門技術者の枯渇も目立つ。採用は新卒・キャリア採用の両方で対応し、人材サービスや広告媒体を使って募集しているが、満足いく人材採用にはつながっていない様子。応募者数が集まらないことに加え、求める側と求職者のスキルと経験のミスマッチも多いとしている。