オムロンは、生産設備を構成するロボットと制御機器を一つのコントローラで統合制御するロボット統合コントローラについて、シミュレーションソフトウエア「Sysmac Studio 3Dシミュレーション」に、検査の自動化設備設計用のオフライン教示機能を追加した。
外観検査はいまだに熟練した検査員の目視で行っている工程は多く残り、その自動化設備の開発も熟練の設備開発者に頼ることが多く、自動化と同時に、実機調整や立ち上げに時間がかかるのが課題となっている。
それに対し同社は生産設備を構成する各機器をまとめて制御できる統合コントローラを提供することで、自動化を容易にし、親和性を生かして設備性能を上げるとともに、設定や調整の手間を削減。
さらに、3Dで仮想空間に設備を再現してシミュレーションできるソフトウエアを提供し、統合コントローラによる設備設計と立ち上げ工数の削減を進めている。今回そこに検査用カメラを取り付けたアームロボットの動作を仮想空間で再現し、ティーチングできる機能を追加した。
「仮想撮影機能」は画像の撮影を仮想空間上で再現でき、撮影状態をオフライン上で確認し、カメラ位置や画角の正確性を判断できる。「対象物へのスナップ機能」は、カメラとロボット、検査ワークの座標を自動演算してロボットの移動位置を正確に指定して教示が可能になる。また「ロボットパスプランニング機能」は、ハンドやワークを持った状態で障害物を回避する経路を自動生成できる機能で、干渉を調整する手間を省き、ティーチング作業のスピードアップに役立つ。
具体的な効果は、20~30点の検査項目がある自動車部品のティーチングは、実機では1日かかっていたものが約1時間で完了させることが可能。またバーチャルでのティーチングができるのでリモートで立ち上げ作業や事前準備ができ、現場作業は微調整だけで済むようになる。
また検査対象のワークは3DCADデータが使えるので、新製品の実物がない状態から検査設備の設計製造が可能になり、生産立ち上げの短縮も実現できる。