主要FAメーカー 2022年3月期決算 コロナ禍耐え増収増益 旺盛な自動化需要捉える

FAメーカー各社の2022年3月期決算が出そろった。各社ともに世界的なコロナ禍を乗り越え、同時に自動化やデジタル化、DXに関連した設備投資需要をとらえて増収増益を確保。数社が過去最高を更新するなど好調な1年となった。22年度業績予想についても、部材不足は続くが市況回復と受注残があることから各社のFA事業は好調を維持する見通しを示している。

2021年度各社の状況

三菱電機は増収増益。全体で売上高は4兆4767億5800万円(6.8%増)、営業利益は2520億5100万円(9.5%増)、純利益は2034億8200万円(5.4%増)の増収増益。FAシステムがデジタル・脱炭素関連が好調で、営業利益の過去最高を更新。家庭電器も欧米向けの空調機器が好調に推移した。

FAシステムと自動車機器で構成する産業メカトロニクスは、売上高は1兆4603億円、営業利益は968億円となり、内訳はFAシステムが売上高7559億円、営業利益1284億円、自動車機器事業が売上高7043億円、営業利益315億円。FAシステム事業は前年度から売上高を1680億円伸ばし、利益も669億円増となり、過去最高を更新。半導体・電子部品・スマートフォンなどのデジタル関連分野やリチウムイオンバッテリーなど脱炭素関連の設備投資が国内外で好調だった。

オムロンは大幅な増収増益。売上高は7629億2700万円(16.4%増)、営業利益は893億1600万円(43.0%増)、純利益は614億円(41.8%増)。制御機器事業(IAB)と電子部品事業(DMB)が大幅な増収増益を果たし、全体として過去最高の営業利益を確保した。

制御機器事業の売上高は24.9%増の4326億円、営業利益は14%増の185億円。制御機器事業への積極投資の効果が現れており、2017年度の前期の中期経営計画終了時に比べ、革新アプリケーションは50個から250個へ、アプリケーションエンジニアは720人から1600人に、i-Automation採用顧客数が1000社から2500社へと大幅に拡大し、受注額も前年度から55%増となった。

キーエンスも大幅な増収増益。売上高は7551億7400万円(40.3%増)、営業利益は4180億4500万円(51.1%増)、純利益は3033億6000万円(53.8%増)。今期はフルスクリーンモデルのハンディターミナルやワンショット3D形状測定器の新商品開発など企画開発面の充実と、海外販売体制の強化を図り、国内売上高は3101億8000万円(30.9%増)、海外売上高は4449億9400万円(47.7%増)となった。

富士電機も大幅な増収増益。売上高は9102億2600万円(3.9%増)、営業利益は748億3500万円(54.0%増)、純利益は586億6000万円(39.9%増)。特に営業利益と純利益は過去最高を更新した。全セグメントが好転し、パワエレエネルギーは2406億円(前年比+313億円)、パワエレインダストリーは3143億円(-316億円)、半導体は1788億円(+213億円)。パワエレインダストリーのうちオートメーションは11%増の増収となった。製品群別では、低圧インバータ、回転機、FAコンポーネント、計測機器のFAは受注高で46%増、売上高で14%増と堅調に推移した。

横河電機は増収減益。売上高は3899億100万円(4.2%増)、営業利益は306億8500万円(2.9%減)、純利益は212億8200万円(10.7%増)。受注は増加したが、営業利益が助成金減少の反動、新事業の関連投資、ロシア関連引当金計上等で減益となった。

セグメント別で、主要セグメントとなる制御は、受注高が3911億円(+621億円)、売上高は3624億円(+146億円)、営業利益は298億円(+4億円)。制御セグメントの業種別では、エネルギー&サステナビリティーは+330億円、マテリアルは+259億円で、特に半導体関連投資によってケミカルが伸長した。ライフは+32億円だが、中国・中東・インドで上下水道の大口案件獲得や食品・薬品関連が堅調に推移している。

アズビルも増収増益。売上高は2565億5100万円(3.9%増)、営業利益は282億3100万円(9.8%増)、純利益は207億8400万円(4.3%増)。FA関連のAA(アドバンスオートメーション)事業は、受注高が1095億円(25.2%増)、売上高が942億円(7.4%増)、純利益が132億円(29.1%増)と好調。半導体製造装置市場の需要が高水準で推移し、その他製造装置市場の設備投資が回復傾向にあるとした。ビル関連のBA事業は都市再開発案件や工場の空調の需要が継続し、省エネやCO2削減ソリューションが拡大し、受注・売上ともに前年比増。LA事業は、製薬市場の設備投資増加を受けてLSE(ライフサイエンスエンジニアリング)分野が増加し、受注・売上ともに増加した。

IDECは、大幅な増収増益となり、売上高と利益がともに過去最高を更新。売上高は707億8900万円(31.1%増)、営業利益は96億7200万円(139.3%増)、純利益は78億9600万円(181.7%増)。仕向地別では、国内は半導体、自動車、工作機械、ロボット関連の需要が急拡大し、売上高は25.4%増の309億円。海外も中国を含むAPAC、アメリカ、EMEAで需要回復が進み、35.9%増の398億円となった。製品別では、スイッチが32.5%増、リレーなどインダストリアルコンポーネンツが39%増、表示器やPLCなどオートメーション・センシング事業が21.4%増、安全・防爆事業が36.8%増、システム事業は6.4%増で半導体・FPD製造装置向け制御盤などが好調だった。

日立製作所は大幅な増収増益。売上高10兆2646億200万円(17.6%増)、営業利益は7382億3600万円(49.1%増)、純利益は5834億7000万円(16.3%増)。うちインダストリー事業は、売上高が9007億円(9%増)、営業利益は822億円となった。またデジタル・データ技術で顧客の革新を支援するLumada事業は、45%増の1兆6090億円に達し、各セグメントでのLumada事業が拡大している。

パナソニックも大幅な増収増益。売上高は7兆3887億9100万円(10.3%増)、営業利益は3575億2600万円(38.3%増)、純利益は2553億3400万円(54.7%増)。うちインダストリーは、売上高1兆1314億円(15%増)、営業利益832億円となり、産業用モータやリレー、情報通信インフラ・車載用コンデンサを中心に増販して増収増益となった。

東芝も大幅な増収増益。売上高は3兆3369億6700万円(9.3%増)、営業利益は1589億4500万円(52.2%増)、純利益は1946億5100万円(70.8%増)。うちインフラシステムソリューションは、前年とほぼ変わらず6547億円。公共インフラ–が社会システム事業の規模拡大で延びたが、鉄道・産業システム事業が減少となった。

2022年度も好調予想

三菱電機は、売上高4兆7700億円(7%増)、営業利益2700億円(7%増)、純利益2150億円(6%増)の見通し。うち産業メカトロニクス事業は売上高1兆5600億円、営業利益1080億円、さらにFAシステムでは売上高8000億円、営業利益1300億円としている。

オムロンは、売上高8500億円(11%増)、営業利益930億円(4%増)の見通し。制御機器事業は、売上高4830億円(16%増)、利業利益900億円(18%増)。i-Automation採用顧客の800社増、半導体・二次電池のグローバル投資刈り取りに向けたエンジニアを100人増強、製品供給力強化で650億円に取り組む。

富士電機は、売上高9600億円(5.4%増)、営業利益820億円(9.6%増)、純利益590億円(0.5%増)の見通し。うちパワエレインダストリーは、売上高3490億円、営業利益268億円とし、省エネ・自動化・DXニーズの高まりによるオートメーションとITソリューションの需要増を主因に増収増益を見込む。

横河電機は、売上高4070億円(4.4%増)、営業利益370億円(20.6%増)、純利益250億円(17.5%増)の見通し。

アズビルは、売上高2750億円(7.2%増)、営業利益298億円(5.6%増)、純利益215億円(3.4%増)の見通し。うちAAは海外での新規顧客獲得や新製品・サービスの投入などに取り組み、売上高995億円(5.5%増)を見込む。

IDECは、売上高745億円(5.2%増)、営業利益325億円(7.2%増)、純利益は75億円(5.0%減)の見通しとなっている。

日立製作所は、売上高9兆5000億円(7.5%減)の見通し。上場子会社再編により、日立建機の一部株式と日立金属の売却により減収となるが、その他のデジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズ、オートモーティブのAstemoで増収増益を見込む。

パナソニックは、売上高7兆9000億円(7%増)、営業利益3800億円(6%増)、純利益2600億円(2%増)の見通し。うちインダストリーは売上高1兆1200億円、営業利益900億円でほぼ横ばい。パワーデバイス、情報通信インフラ、車載用コンデンサ、産業用モータ、EV用リレーが増販の見込み。

東芝は、売上高3兆3000億円(1%減)、営業利益1700億円(6.9%増)、純利益1750億円(10.2%減)の見通し。うちインフラシステムは売上高7000億円(7%増)、営業利益510億円(22.3%増)の成長を見込んでいる。

https://www.mitsubishielectric.co.jp/

https://www.omron.com/jp/ja/

https://www.keyence.co.jp/

https://www.fujielectric.co.jp/

https://www.yokogawa.co.jp/

https://www.azbil.com/jp/

https://jp.idec.com/

https://www.hitachi.co.jp/

https://panasonic.jp/

https://www.global.toshiba/jp/top.html

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