工場内の扉は、防犯、防音、安全、衛生、省エネ、保温、法律上…必要なものに限定せよ。
扉がやたらに多い工場を見たことがありませんか?
出入り口の扉にはじまって、機械の扉、廊下の扉、資材収納のロッカーの扉、事務所の扉、倉庫の扉…と何をするにもどこに行くにも扉の開け閉めが必要な工場です。
以前にイギリスの工場に行ったとき、とにかく扉が多いのに驚いたことがあります。理由を聞くと、法律がそうなっているから仕方がない…という答えが返って来たのですが、工場の人に本音を聞くと、意味のない多さだという答えが返って来たのを覚えています。
当然ですが、扉があれば開け閉めの動作が必要になります。もちろん絶対に必要な扉はありますが、毎回の開け閉めは邪魔で面倒ですから理想はゼロなのだと思います。工場の中に扉があったら、本当に必要かどうかを疑ってかかることです。
防犯、防音、安全、衛生、省エネ、保温、法律上……といった必要不可欠の理由以外は美観上か、なんとなくだったりすることが多いと思います。工場はムダ追求の場所ですから、なんとなくあるといったモノがあってはならないと思いませんか。
そもそもひねって開けるドアノブは、左利きの人には開けにくいし、両手がふさがっていたら開けられません。電車の各車両にある連結のところの扉は本当に必要でしょうか? ムダに気付いて最近は扉のない車両も増えています。
昔からそうであった建物の構造のようなことになると、もうすべて当たり前の変えられない事実……といった受け止められ方がされがちですが、例外はないはずです。
■著者プロフィール
【略歴】柿内幸夫 1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授。著書「カイゼン4.0-スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など。
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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https://www.kaizenproject.jp/