リンクスは、世界の製薬業界で法規制が広がっているデータインテグリティ(DI)について、製薬会社を中心にDI対応のための機能を備えたSCADA「zenon」の提案を強化している。
DIとは、製造データや検査データの適格性、信頼性を保証するもので、それを実現するにはデータが誤記、捏造、改ざんされていないことを証明し、されない、されていても発見しやすいシステム構築が必要となる。アメリカFDAやEU GMPでの法規制も進んでおり、日本の製薬業界でもDI対応が急務となっている。
従来のような紙ベースの作業報告書や検査書では誤記や捏造、改ざんの恐れがあり、DI対応は不可能。また各装置やPLCでデータを蓄積・管理しようとすると、それぞれの機器に応じたプログラムの開発に膨大な開発工数がかかる上、データをクラウドや別のシステムに移行する際、機器からはテキストデータ・CSVファイルで出力されるため、改ざん可能なデータとなり、そもそものDI対応が破綻してしまうという難点がある。
改ざんや捏造の原因となる人の手を介さず、かつデータ一貫性を保つためにはデータの収集から蓄積、管理までを同一のシステムで行うことが肝要であり、それを可能にするのが、フィールド機器とエッジ領域を包括してデータを格納できるSCADAということになる。
リンクスは2017年からオーストリアCOPA-DATA社製SCADA「zenon(ゼノン)」を取り扱っており、トヨタ自動車をはじめ多くのメーカーに採用されている。いつ、誰が、どこで、何を変更したのかといったデータ変更履歴を自動的に記録する監査証跡や、重要工程のパラメーターを時系列で収集・管理しての見える化、アラート機能などDI対応の機能を備えており、現在、製薬業界を中心に提案を強化している。
同製品はHMI画面作成の機能も備え、SCADAと同一の各装置の監査証跡や時系列データの収集管理、アラーム管理等を構築できる。そのため各装置と生産ライン、工場全体を同一のDI対応のシステムに載せることができ、隙のないDI対応が可能となる。
DIは、信頼性の高いデータ管理によって正確なトレーサビリティや品質管理、作業管理にも応用でき、製薬業界だけでなく、組み立て製造業にも最適。同社はDIを切り口として製薬業界を攻略し、同時にDXと現場データの活用を材料として製造業界全体に対して提案を進めていく。