新型コロナウイルスの感染拡大が下火になってきてあらためて思うのが、コロナ禍で訪問や対面が制限され、オンラインでの打ち合わせやリモートワーク等が広がったが、やはり営業力に定評がある企業は足腰が強いということ。昔から営業が強いと言われる企業、またはコロナ禍前から営業にテコ入れをした企業は軒並み好業績を上げている。もの売り、コト売り、ソリューションなど製品やサービスの拡充や見直しも大事だが、「顧客をつかんで離さない、顧客がつかんで離してくれない」そんな泥臭い営業力はビジネスに安心感と安定感をもたらす。
近年はことDXやデジタルマーケティングに注目が集まり、多くの人と予算がそちらに割かれている。もちろんそれも重要だが、得手不得手、適合不適合はきちんと見極めなければいけない。DXやデジタルマーケティングは、広く浅く顧客との関係性を構築するのに有効だ。顧客との接点を増やし、軽いビジネス、短期的で低価格の取引、消耗品や単純な部品といったシンプルな商材の売買までは簡単に誘導できる。しかしソリューションやこと売りといった重いビジネス、長期的で高額な取引は、それだけで成立させることは難しい。そこは人と人、昔ながらのアナログなやり方の方が優れている。
盲目的にデジタルを祭り上げ、古いアナログなやり方を否定する。営業手法が偏るのは悪手なのだが、最近はその罠にはまる企業も多い。マーケティングはよく「空中戦」と評され、デジタルマーケティングになってさらにそれは顕著になった。広く大ダメージは与えられるが、どこまで行っても陥落はできない。最後は、やはり地上部隊、人の出番だ。デジタルマーケティングの強化も不可欠だが、同時に顧客と親密な関係性を築き、心を掴む提案ができる営業力の強化を軽視してはいけない。リアルやアナログ、対面や人間関係等へ揺り戻しが想定されるアフターコロナには、再びリアルな営業力が武器になる。