2000年代半ば、携帯電話の内部基板から金が取れると話題になった「都市鉱山」。00年代後半から10年代初頭には、中国での生産停滞と対日禁輸措置によってレアメタル・レアアースの価格が急騰し、その時も都市鉱山がクローズアップされた。素材や部材の調達が難航する今、都市鉱山が3度目のブームになってもおかしくない。
実際すでに産業界では都市鉱山をうまく活用している。例えば、先日のJECAフェアで日東工業が出品していた新型の産業用蓄電池システムは、バッテリー部に日産の電気自動車(EV)の使用済みバッテリーを再利用したものを採用。EVバッテリーも、言ってしまえば都市鉱山のひとつだ。またセイコーエプソンは、グループ会社で金属再利用のエプソンアトミックスの新工場を建設し、グループ各工場の金属くずや端材等を引き取って再資源化を進めている。これも都市鉱山の活用だ。
日本の都市鉱山は世界有数の規模と言われる。以前は分解・破砕して金属材料を取り出すという形が主だったが、今はEVバッテリーをそのまま再利用する形のような、モジュール化して、そのまま他に転用するというやり方もある。日本は資源の乏しい国という認識は、20世紀の昭和の時代で終わり。21世紀の令和の時代は、潜在資源の多い資源大国という認識で、資源を引き出し、うまく使うことに技術を使おう。