帝国データバンクは、2022年度の設備投資に関する企業の意識調査の結果を公表し、22年度の民間企業の設備投資額は87兆円となり、コロナ禍前を若干下回るものの2年連続の増加が見込まれるなか、ITやDXなどデジタル投資が進む一方で、円安や原料価格の高騰等に対する先行き不透明感も見られるとした。
調査は、全国2万4854社に対して行われ、1万1267社から有効回答を得た。
2022年度に設備投資を行う予定・計画が「ある」(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)という企業は58.9%。規模別では、大企業が72%、中小企業は56%、小規模企業は43%となった。業界別では、製造業は69.5%(前年比0.6ポイント減)、運輸・物流は67.5%(1.6%減)、小売りは56.4%(5.1%減)だが、農林水産業は73.6%(9.7%増)と大幅に増加した。
設備投資の内容は、「設備の代替」が41.5%でトップとなり、「既存設備の維持・補修」(32.5%)、「省力化・合理化」(26.2%)、「情報化(IT化)関連」(24.5%)が続いた。また「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の回答も18%あった。特に従業員数が多い企業は情報化とDX関連への設備投資の割合が高く、情報化関連が45.3%、DXが33.7%だった。
設備投資の予定が「ある」とした企業からは、「省力化・効率化などを見据えたデジタル化への設備投資は必須と考えている。資金調達は、新型コロナウイルス関連融資で非常に助かっている」(土木建築サービス)、「生産の効率化を図るために新しい設備(検査装置)導入を検討中で、そのために助成金を申請予定」(光学機械・写真機械器具卸売り)、「業態転換補助金の活用など、新規事業に軸足を置いている」(酒類卸売り)といった声があり、また「設備の調達において注文から納入までの期間が長
くなり、トラックは約1年、クレーン等は3年かかる物もあり、投資判断が難しくなっている」(土木工事)や「建築投資案件について、部材の高騰、納期の長期化を考慮すると、先延ばししたほうがよいかもしれないと考えるようになってきた」(自動車(新車)小売り)など、投資計画を修正する動きも出ている。
また設備投資の予定が「ない」企業では、設備投資を行わない理由は「先行きが見通せない」(53.0%)がトップで、「現状で設備は適正水準である」(26.4%)、「投資に見合う収益を確保できない」(20.8%)、「借入負担が大きい」(13.3%)、「原材料価格の高騰」(13.1%)が続いた。
企業からは、「円安により燃料価格が高騰し、収益を圧迫させることが想定され、安易に設備投資はできない」(一般貨物自動車運送)、「同一作業機械設備が10年、20年前と比べて非常に高くなっている。さらに原材料高騰で金額が上がっているので予算が合わない」(金属製建具工事)など、先行き不透明感の声が上がった。