経済産業省は2021年度経済センサス活動調査を公表し、日本の製造業の現在の姿が明らかになった。2020年の日本の製造業の売上高は390兆円超、純付加価値額は65兆円となり、日本産業全体に対して約2割を占める基幹産業となっている。しかしいずれも前回の2015年調査時よりも減額し、企業数・事業所数も減り、規模としては縮小傾向にある。
人、企業減 土台強化を
経済センサス活動調査は、日本の全産業分野の売上(収入)金額や、費用などの経理項目を同一時点で網羅的に把握し、事業所・企業の経済活動を明らかにし、かつ母種団の情報を得ること目的にした調査。全国全ての事業所・企業を対象とし、経済産業省が5年周期で実施している。
同調査によると、2020年の日本産業全体の売上高(収入金額)は1702兆201億円、純付加価値額(純付加価値額=売上高-費用総額+給与総額+租税公課)は337兆1437億円。このうち製造業は390兆9934億3500万円で日本産業全体の23.0%を占め、純付加価値額も65兆1543億3400万円で19.3%を占めた。
また2021年6月1日時点の日本国内の企業数は367万4000社あり、事業所数は507万9000カ所、従業者数は5745万8000人。このうち製造業の企業は34万64社で全産業の9.3%を占め、事業所数は41万864カ所(8.1%)、従業者数は886万6615人(15.4%)となっている。
企業数では、卸売業・小売業の73万9837社(20.1%)、建設業の42万4290社(11.5%)、宿泊業・飲食サービス業の42万2908社(11.5%)に次いで4番目に大きく、事業所数では卸売業・小売業の120万507カ所(23.6%)、宿泊業・飲食サービス業の57万8342社(11.4%)、建設業の48万3649カ所(9.5%)、医療・福祉の45万9656カ所(9.1%)に次ぐ5番目。従業者数は卸売業・小売業の1147万6947人(20.0%)に次ぐ2番目の規模となっている。
一方でこれまでの推移を見ると、売上高・純付加価値額は増加傾向にあるが、企業数・事業所数・従業者数は減少を続けている。好意的に捉えれば、無駄を減らして利益を出せる体質に変わってきているという見方ができるが、製造業を支える人と企業が減って基盤が揺らいでいるのは確か。製造業全体としてDX等で効率化を進めつつ、人を増やす・起業を促すことで土台を強化する必要がある。