商品は、製品別でなく、お客様ごとに造れ。
世の中で、一人ひとりのお客様に向けてモノづくりをしているところは決して多くありません。それは、製造工程やラインを見れば一目瞭然でしょう。
しかし部品でも完成品でも、買ってくださる会社や人がいるから造られるのです。注文がないのに造ってしまえば不良在庫の山となって会社は倒産してしまいます。注文があるから造るという原点に立てば、モノづくりは製品別ではなく、お客様ごとに造るのが当然だといえるでしょう。
例えば、おすし屋の板前さんが注文ごとに1つずつ握って出すようなモノづくりです。クルマも、車種や色、さまざまなオプションがありますが、オーダーごとに製造ラインを流れて新車が納入されるようになっています。規模の大小ではありません、モノづくりの強さの現れだといえるでしょう。3万点の部品が必要な自動車でできるのですから他でできない理由はありません。
11月22日の日本経済新聞朝刊の「theSTYLE/Fashion」のページに、デザイナーの中里唯馬さんのことが「針も糸も使わない私のための一点物」というタイトルで紹介されています。中里さんは新素材や新工法を使って個々の人の体形に合わせた、独自のデザインの服を安価に作れる準備をしていて「やがて衣服は一点物しか存在しなくなる」と主張されています。
2014年に出版されたアンソニー・フリン著『カスタマイズ』(cccメディアハウス)には「大量生産から、低コストの『特注量産時代』へ」というサブタイトルが付いています。
マーケットインの時代からユーザーインの時代へと移行しつつあるといわれています。既にその傾向は見えてきています。準備を始めましょう。
■著者プロフィール
【略歴】柿内幸夫 1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授。著書「カイゼン4.0-スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など。
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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https://www.kaizenproject.jp/