ピエゾ位置決め製品のドイツ・PIグループ(日本法人ピーアイ・ジャパン)は、半導体やフォトニクス、産業オートメーション、ライフサイエンスに影響を及ぼしている世界的な部品供給不足に対し、5300万ユーロ(73億円)の投資を実施。顧客と共同で具体的な納品数量や納期に関する長期計画の策定や300人以上もの人員増加を行い、納期遅延の解消に向けて動いている。
同社は、ドイツ・カールスルーエに本社を置く高精度位置決めメーカーで、ピエゾ素子を使ったアプリケーションの世界的企業。産業オートメーションや半導体産業、フォトニクス、顕微鏡・ライフサイエンスなどの市場に展開している。従業員は約1400人、ヨーロッパ、北米、アジアに9つの生産拠点と、16の販売・サービス子会社を持ちグローバル事業を展開している。
製造業各社の例に漏れず、同社も部品供給不足には頭を悩ませているが、5300万ユーロの投資をはじめ、解消に向けて積極的に動いている。
5300万ユーロの社内投資は、生産性向上と生産能力の強化を目的とし、2021年には生産能力を引き上げ、位置決め装置と圧電セラミック部品の生産を前年比30%増となった。さらに中期的にもさまざまな施策を継続して実施し、22年も生産能力を30%増加させ、23年にはドイツとアメリカの生産拠点で生産ラインの増設を行い、能力拡張を行う予定となっている。
またサプライチェーンマネジメントを強化し、地域のサプライチェーンを特定し、設定することに重点を置き、サプライヤー向けのePortalを構築。サプライヤーとのコミュニケーションを迅速・円滑にし、サプライチェーンの垂直統合による持続的な生産能力の向上を可能とした。
さらに、短期的な納品状況に対するプレッシャーを軽減するため、多くの顧客と長期計画を策定し、実際のニーズによって納期と数量を決定する形をとっている。これによって将来を見据えた生産計画を立てることができ、ジャストインタイムで同社のコンポーネントやシステムを安心して利用できるようになるとしている。
これらの施策についてPIグループのCEOマルクス・スパナー氏は「パンデミックは、当社のイノベーション主導型市場の成長を急速に加速させ、通常であれば10年以上かかる開発をわずか2年で完了した。その結果、すべての市場セグメントで力強い成長を遂げることができた」としている。