日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、2022年度から2024年度にかけての日本製半導体・FPD製造装置の需要予測を発表した。ウクライナ紛争や物価・エネルギー価格の高騰、サプライチェーン混乱、部品不足等は続いているが、半導体メーカーの積極投資は継続しており、2022年度は過去最高の4兆5133億円になる見込み。2023年度以降も成長は続き、2024年度には4兆9312億円に達すると予測している。
100兆円も視野に入ってきた世界半導体市場
半導体・FPD市場は、2022年以降も高い成長率での拡大が続く見通し。FPD・半導体製造装置とその部品産業にとっては追い風だが、部品・半導体不足は続いており、先を見据えた供給力の強化が必須となる。
半導体市場の動きは、WSTS(世界半導体市場統計)の「2022年春季半導体市場予測の結果」によると、2022年の世界半導体市場は前年から16.3%増の6464億5600万ドル(約87兆9277億円)。23年も5.1%増の6796億5000万ドル(約92兆2016億円)と成長を見込み、100兆円も視野に入ってきた。
スマートフォンは総生産台数は落ち着いたが、5Gモデルの比重が急速に上昇。PCはリモート特需の反動がきているが、新CPUへの切替やDDR5/LPDDR5等の新規格への対応で仕様の高度化が進んでゆく。ハイパースケーラーを中心としたデータセンターの建設・更新需要は旺盛。CPUに加えNANDフラッシュやDRAMでも需要の多くを担うようになり、使われる半導体には処理の高速化と低発熱化・省電力化が今まで以上に求められてきている。また世界的なカーボンニュートラルの流れは電気自動車や新エネルギーへのシフトを加速させ、パワー半導体にも大きな技術革新が求められる。
さらに、メタバースなどの新しい需要は、未知数の部分も多いが、期待がかかるとしている。
世界FPD市場 有機ELへの切り替え需要での設備投資に期待
FPD市場は、パネル価格が上昇していたが、TV用は2021年夏をピーク、IT用は2021年秋をピークに下落を開始し、コロナ禍前の水準に戻ってきている。パネル各社の業績が低下傾向にあり、大規模な設備投資計画を発表しづらいタイミングとなっている。
設備投資は、全体としては横ばいから微増。2022年の中国大型LCD、G6OLED共に案件は多いが、G10.5基板クラスの投資は各社共増設レベルにとどまる。2023年以降では、ITパネル(PC・タブレット向け)がLCDからOLEDに置き換える動きが期待できる。現在G6が最大基板サイズのOLEDをG8.5~G8.7基板にステップアップさせる必要があり、新技術採用時には、歴史的に日本製装置のプレゼンスが高まる傾向にあり期待できるとしている。
日本製半導体製造装置、初の4兆円超え 成長続く
日本製半導体・FPD製造装置の販売高について、半導体製造装置の2022年度は17.0%増の4兆283億円の見込み。4兆円を超えるのは統計開始以来はじめて。1兆円を超えたのが10年前の2012年度、2兆円を突破したのは2017年度だったことから、わずか10年で4倍まで成長したことになる。2023年度も安定成長で5.0%増の4兆2297億円、2024年度も同様に5.0%増の4兆4412億円と予測している。
日本市場に限ると、2022年度は大手メモリメーカーの復調により30.0%増の1兆1834億円の予測。2023年度は10.0%増の1兆3017億円、2024年度も10.0%増の1兆4319億円と順調に伸びる見通しで、さらに上振れの可能性もあるとしている。
FPD製造装置の2022年度は、0.9%増の4850億円の見込み。2023年度は4500億円と一時的に落ち着くが、2024年度に4900億円と回復する見通しとなっている。