善か悪か。白か黒か。丁か半か。一か八か。二元論はシンプルで分かりやすく、人の心に刺さりやすい。また結論が中途半端にならないのがメリットだが、答えが偏り、課題や問題点を覆い隠し、現実世界には当てはまらない回答になる可能性があるというデメリットがある。メディアや広告業界ではインパクトを強くするためあえて二元論で展開することが多く、冷静に見極める目が大切だ
産業用ネットワークが良い例だ。汎用ネットワークはEthernetが標準になっているため、産業用ネットワークもEthernetベースのものが主流になり、古くから使われてきたフィールドバスはいずれなくなるということを言う人やメディアもある。確かに主流は産業用Ethernetになっているが、一方で高いセキュリティが必要な超重要な区画や機器にはフィールドバスを使うというケースも多く、特にサイバー攻撃が増えているなか、セキュリティを強化するためにあえてフィールドバスにするという選択も増えている。利便性や効率性を考えれば産業用Ethernetに軍配が上がるが、重要な資産を守るという目的を最短距離で実現するには、業務的には非効率だが、攻撃手段や経路が限定されるフィールドバスという選択肢は大いにアリなのだ。
同じ製品を作っていても、ひとつとして同じ現場はない。その場所によって特長や個性がある。重要なのは、その目的や場所、状況応じて最適な選択肢を選び、使いこなしていくことだ。標準化は大切だ。しかしそれで非効率や本来の目的から遠かったら本末転倒でしかない。メディアや広告を鵜呑みにせず、自社や状況に合わせた技術や製品を選び、それを進化させていくことが重要だ。