内食化、健康志向商品向け設備投資は旺盛も、コロナ禍で外食向け、業務用が苦戦
日本食品機械工業会は、2021年の食品機械の販売実績等の市況をまとめた「2021年食品機械調査統計」を公表した。2021年の食品機械の販売額は、前年比2.2%減の5731億2600万円となった。長期化した巣ごもり需要による内食化、消費者の健康志向に対応した分野の設備投資は好調だったが、インバウンドや外食、観光など人の移動が影響する分野は設備投資は控えられ、全体としては前年を下回った。
明暗がはっきり分かれた機種別の販売動向
機種別では、前年から伸ばしたのは、肉食加工品、飲料加工品、醸造用機械、製麺機械。いずれも内食需要をとらえた。
肉食加工機械は、8.4%増の311億2600万円。内食化需要で精肉や食肉加工向けの設備投資が旺盛だった。
飲料加工機械は、5.2%増の246億4500万円。健康志向の高まりに対し、乳酸菌飲料やノンアルコール飲料への設備投資が行われた。
醸造用機械は、5.0%増の165億1700万円。巣ごもり需要で味噌や醤油など醸造食品の消費が拡大し、それにともなう設備投資もあった。
製麺機械は5.9%増の107億8300万円。国内外で内食需要が増加し、インスタント麺などのライン増設等が前年から引き続いて好調。
一方、減少したのは、外食用など業務用向け商品が中心の機械。
最も金額の多い、その他の食品機械は、5.0%減の2481億3000万円。中食やコンビニ、スーパーマーケット向け商品に対応した冷食や野菜加工などの設備投資があったが、外食産業向けの業務用食品需要が大きく減少した。
製パン・製菓機械は、2.5%減の1297億6000万円。インバウンド需要の喪失や観光の自粛、外出やリアルの対面が控えられたことから、贈答品向け設備が減少。
水産加工機械は、1.2%減の175億3000万円。大手ユーザーで水産加工品向けの設備投資があったが、中小企業での設備投資が抑えられた。
精米麦機械は1.9%減の145億200万円。内食化によるパック米や精米施設への設備投資はあったが規模は小さく、海外需要における現地での対応が増えたことによって輸出額が減少したことが響いた。
製粉機械は1.7%減の119億6300万円。インスタント麺や冷食対応の加工設備はあったが、上流工程への設備投資が一巡していたため伸びなかった。
乳製品加工機械は1.0%減の68億1700万円。外食産業など業務用乳製品の需要が減少し、その影響が大きく設備投資が停滞した。
輸出好調も、輸出比率は7.4%にとどまる
食品機械の輸出入に関しては、輸出金額は13.6%増の429億1000万円と大きく増加。輸出比率は7.4%。
全体構成比で7割近い金額を誇るアジア向けは297億4700万円(15.8%増)。北米は65億4200万円(11.0%増)、西欧は43億2600万円(37.8%増)となった。国別では中国(19.0%増の104億5000万円)を筆頭に、アメリカ(8.7%増の59億6100万円)、韓国(54.8%増の58億1400万円)、台湾(30.1%増の29億2000万円)と続いている。
機種別では、その他加工機械の17.2%増の118億2600万円をはじめ、製パン・製菓機械の7.0%減の94億7000万円、飲料加工機械の28.9%増の90億3500万円が続いている。
対して輸入金額は、5.8%減の298億8500万円となった。輸入元はヨーロッパが圧倒的に多く、全体の65%を占め、その金額は195億1000万円だった。続いてアジアからが59億1600万円、北米の35億3100万円が続いている。
機種別では、最も輸入金額が多いのは飲料加工機械の140億2300万円(10.3%減)。続いて製パン・製菓機械の54億5100万円(19.7%減)、肉類加工機械の38億4200万円(13.2%)と続いた。