モノの管理に、人の目とコンピュータの目の、相乗効果を取り入れよ。
強いモノづくりができるように改善を進めていくと、倉庫の活用レベルを高めることが大切だと分かってきます。倉庫とは、単なるモノの保管場所などではなく、原料や部品を加工して製品にして出荷する流れを支える拠点であるからです。ですから、倉庫が荷物で埋まっていて出し入れが混乱していたり、どこに求めるモノがあるか分からないようでは強いモノづくりなどは到底達成できないのです。
倉庫活用のレベルを上げるために、置き場所を決めて担当者がそれをきちんと守って整頓を維持するという、人間が見てすぐ分かるアナログの仕組みは基本ですが、それをバックアップできるデジタルの仕組みがあれば万全になります。「どこに何がどれだけあるか」をデータ化することです。
現実を見ると、以前と比べて品種が増えていて、既に倉庫が満杯で身動きが取れない状況にある工場も多くあるようです。しかし、倉庫の中をよく見るとモノが置かれていない空間があるのです。情報がタイムリーに伝わらないため、空間が活用できずにいることや、あるいは一つの入れ物に一品種といった管理がその原因であるようです。
そこでバーコードなどでコンピューター管理をして、空いている場所にモノを置いても管理ができて空間の活用度を何倍にも引き上げることをしませんか。
先端の流通業や自動倉庫はすでにそのようなことを実行していますが、投資額のすごさに目が行ってしまうと、実行は無理だと思えてしまいます。しかし見るべき点はそこではなく、アナログとデジタルの両方を活用するという発想です。今はバーコードを読む仕組みなどは極めて安価で使えるようになりました。発想を変えることで倉庫を革新してモノづくりを強くしていきましょう!
■著者プロフィール
【略歴】柿内幸夫 1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授。著書「カイゼン4.0-スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など。
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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https://www.kaizenproject.jp/