国際ロボット連盟(IFR)によると、2021年の世界の産業用ロボットの出荷台数が50万台の大台を突破し、過去最高となる51万7385台に到達した。過去10年間で右肩上がりを続け、19年・20年はコロナ禍で停滞したが、21年は大幅回復。今後も成長が続く見通しで、25年には年間出荷台数は69万台に達すると予測している。
エレクトロニクス産業での導入が拡大
21年の世界の産業用ロボットの出荷台数は、20年の39万4000台から31%増となる51万7385台となり、これまでの過去最高だった18年の42万3000台を9万台、22%以上も上回った。
産業別では、エレクトロニクス産業が前年度24%増の13万7000台と最も多く、自動車産業が42%増の11万9000台と続く。さらに金属・機械産業が45%増の6万4000台、化学産業が29%増の2万4000台、食品産業が18%増の1万5000台となった。19年は自動車の導入数が最も多かったが、20年・21年でエレクトロニクス産業が逆転し、最もロボットを導入する産業になっている。
用途・アプリケーション別では、搬送・ハンドリング用途が36%増の23万台で全体の4割以上を占め、溶接が38%増の9万6000台、組み立てが6万2000台、クルーンルーム向けが3万2000台と続いている。
協働ロボットは50%増の3万9000台
ロボットの種別、産業用ロボットと協働ロボットの別では、産業用ロボットが47万8000台、協働ロボットが3万9000台となった。協働ロボットが全体に占める割合はまだ7.5%だが、17年の1万1000台、18年の1万9000台、19年の2万1000台、20年の2万6000台と増加を続けてきて、21年は50%増と大幅な成長となった。協働ロボットのメーカー・ラインナップも拡充してきており、さらに普及が進むと見込まれる。
国別トップ3は中国、日本、アメリカ
地域別では、アジア・オーストラリア地域、ヨーロッパ、アメリカ地域と全地域で増加傾向。アジアは38%増の38万1000台、ヨーロッパは24%増の8万4000台、アメリカ地域は31%増の5万1000台。
国別では、1位が中国の26万8200台、2位が日本で4万7200台、3位がアメリカで3万5000台、4位が韓国で3万1100台、5位がドイツで2万3800台と続いた。中国は1年間で9万台増やして世界の出荷台数の半数以上を占め、アメリカは導入が一気に進み、韓国を抜いてトップ3に入った。
サプライチェーン再構築で各地域の設備投資は増加が続く
今後の見通しについて、22年は10%増の57万台となり、以降は7%の成長率で拡大し、23年に61万台、24年に65万台、25年には69万台まで拡大すると予測している。コロナ禍と地政学上のリスクでサプライチェーンが混乱したことの反省から、各地域で工場の自国や近隣地域への回帰傾向で設備投資が活発化することや、ロボットシステムの低価格化や利用の簡便さ向上による新規産業での導入促進、マスカスタマイズ需要の拡大等で需要はまだ伸びると見込まれている。