儲かるメーカー改善の急所101項【急所76】劇的に生産性を上げるヒント モノの流し方を疑え。

生産性の向上やいろいろな効率アップを考えるとき、私たちは、設備は現状のままという前提で改善を考えてしまいがちです。「設備は動かないもの」と思い込んでいることが多いのです。しかし動かせないと思っていた設備が動いて、モノの流し方が変わると、劇的な変化が起きる可能性が高いのです。設備は動かせないというような前提は固定観念であるということです。
ある会社で社長も営業も設計も技術も管理もといったモノづくりにかかわりのある人すべてが参加して整理整頓をするKZ法活動をしていた時の話です。すぐに使わないモノがたくさんあってごちゃごちゃしていた職場でしたが、たくさんの余分なモノをどけてすぐに使うモノだけにしたところ設備の周りが見違えるほどスッキリしました。するとそこにいた社長が、離れ離れになっている設備を移動して工程順に繋げたらいいんじゃないか?と疑問の声をあげました。現場がすっきりして場所が空いたのでひらめきが生まれたのですね。
ほとんどの参加者は設備を動かすということは全く考えていなかったのですが、言われてみるとその通りだし、やればできそうなので、そこにいる10人の人たちでその場で一気にやってみることにしました。やってみたところ運搬・停滞がほぼなくなり配員も減らせたため生産性を2倍に上げることができました。
ある自動車メーカーでは製造ラインに流す自動車の向きをそれまでの常識である縦から横に変え、ライン長を3分の2に短縮しました。作業員は移動距離が短くなり生産性がアップし建設費も4割の削減ができたと聞きました。
昔からそうなのでこういうものと思い込んでいるだけであって、それがベストとは限りません。天地反転、左右逆、縦横を変えるとどうなるのか? 出荷の際の箱詰めでも、今の個数や向きは本当にベストなのか?全員でチエを出し合ってラインを短縮して作業を大きく変える可能性を探ってみませんか。

■著者プロフィール

【略歴】柿内幸夫 1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授。著書「カイゼン4.0-スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など。

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト

改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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