今回は、産業用ロボットで成功している企業であるロボティーチの鈴木社長にインタビューをした。
-ロボティーチはどのような会社ですか?
現在はロボットの「ティーチング(プログラミング)」と「SIer」、2つの活動をしている。
ティーチングに関しては、近年の少子高齢化で生産ラインでの自動化の流れが自動車業界だけでなくその他の業界にも感じ取れた為、創業前に培った「現場でのティーチング」「オフラインでのティーチング」そして「電機制御」「生産技術」の知識を基に、提案・改善のできるティーチング会社を2018年に創業。私以外の社員たちもティーチングのレベルが高く、各々ロボットの立ち上げから細かいところにまで手が届く。
SIerに関しては、2022年8月より事業を始めた。協力会社とともに小型ではあるが設備一式を立ち上げた実績がある。これまでのロボットの現場での経験を打合せの段階から織込み、信頼できる「メカ」「電機」「ロボット」の技術者で工事を執り行うことができる。その為、工事が多少イレギュラーがあっても、不具合等を最小限に抑えることができ、「スムーズ」かつ「楽しく」進めることができる。遊休機のロボットも当社にてメンテナンスを行い、無駄のなく工程に織込める。これらのことで、顧客から満足してもらっている。今後、更に実績を伸ばしていきたい。
ロボティーチのメンテナンス
-ロボティーチは今後は?
2023年4月を目標ににCAFÉ&BARを展開予定である。
CAFÉ&BARでは、産業用ロボットとカフェバーを組み合わせ、一般客がロボットに触れ合えるだけでなく、別フロアでは検証ラボ・打合せをする場を用意している。様々な商材、ツールを使い「情報の交換」・「異業種との交流」・「新しい情報の発信」を行っていく予定だ。
-ロボティーチの優れている点は?
各ロボットメーカーに精通しており、他社と比べて現場力・応用力が高く、顧客を「満足させる力」「不安を解消する力」を持っている。当社はティーチング会社でありながら、事前に検証等ができる環境が蒲郡工場だけでなくそれ以外にも複数ある為、顧客の行いたい「新しい試み」の構想を練りながら検証を行える。また、顧客からの「工場のどこを自動化できるか?」という質問に対しても、実際に現場を見ながら自動化できる箇所の提案等も行える。更に、設備導入後に顧客から「自社の社員でティーチングをしたい」との声に対しても「産業用ロボット特別教育」を実施し資格の交付も行っている。
-顧客はどのような企業ですか?
業種では自動車・電車・ロケット・家電・食品・半導体など、様々な大手・中小企業、すべてが当社の顧客である。
-仕事でにがい経験はありますか?
にがい経験はあるが、そのピンチが顧客の信頼に繋がった。新規の顧客のライン起ち上げ案件で、元々はロボット2台で3週間というティーチング期間があったが、その時のティーチング会社が仕事を途中で放棄し、急遽当社に依頼がきたのは残り3日という不可能に近いピンチがあった。現地に赴き、仕様とその時できているプログラムを確認したところ、動作もフローも仕様通りのプログラムとなっていなかった為、他ラインのロボットからサンプルプログラムを吸い出し、それを基にプログラムを1から作り直した。更にロボットの届く範囲に加工機が設置されておらず2回目のピンチも対応することになったが、必要な情報の打合せを行いプログラムに織り込み、何とか無事に自動運転までたどり着くことができた。なお、顧客の要望である「生産1個あたり5秒以内にサイクルタイムを抑える」「自動運転中にエラーでロボットが止まった際の原点復帰」両方とも、その3日間でクリアしたが、とても内容の濃い期間であった。これをきっかけに当社の腕が顧客が大いに評価され、他の顧客も紹介され、その紹介先でもピンチはあったが、現在では皆当社のリピーターになっている。
-ティーチングソフト「RobotWorks」を顧客に勧める理由はなぜですか?
恐らく、この記事の読者は「なぜロボティーチのようなティーチング会社が、他社である富士ロボットのティーチングソフトを顧客に勧めるのか?」と疑問に感じると思う。しかし、次の理由から顧客に勧めている。
1)
「製品の外周を均一になぞる表面研磨」など難易度が高く安定した精度を求められるティーチングを当社のティーチングマンが行うにしても、数百ポイントの動作を作成するにあたって複雑なものに関しては最低でも数十時間が必要で、労力もたいへんなものがある。。
更に、プログラムを作成した後の微調整においても、数百あるポイントの微調整には、さらに時間を要する。だがRobotWorksを使うと、製品の3Dデータがあれば、ティーチングにかかる工数を大幅にカット(約1/10)することができる。
2)
富士ロボットの顧客の工場を見た際、富士ロボットの顧客に対する仕事の取り組み方が他社とまったく違った。その工場で、顧客が私の目の前でRobotWorksを使用するところも見せてくれ、生の「感謝」の言葉を聞いた。ティーチングソフトを販売している会社は他にもあるが、不満の声ばかり耳に入るので、富士ロボットの「できるまでしっかりフォロー」が信頼を得ていることを実感する。そして、顧客が別の顧客に富士ロボットを紹介するという、最高の流れを作り出している。これらは、当社も良い手本にしている。
◆山下夏樹(やましたなつき)
富士ロボット株式会社(http://www.fuji-robot.com/)代表取締役。
福井県のロボット導入促進や生産効率化を図る「ふくいロボットテクニカルセンター」顧問。1973年生まれ。サーボモータ6つを使って1からロボットを作成した経歴を持つ。多くの企業にて、自社のソフトで産業用ロボットのティーチング工数を1/10にするなどの生産効率UPや、コンサルタントでも現場の問題を解決してきた実績を持つ、産業用ロボットの導入のプロ。コンサルタントは「無償相談から」の窓口を設けている。