いまサッカーW杯がカタールで開催中だ。日本代表の活躍によって日本国内でも盛り上がっているが、今回はアディショナルタイムが長く取られる試合が多く、90分を過ぎても気を抜けない。その要因のひとつとなっているのが、もはや定番となった「VAR(ビデオアシスタントレフェリー)」だ。
サッカーW杯でVARが正式に採用されたのは、前回2018年のロシア大会から。誤審を防ぐ目的で導入され、ロシア大会では審判は95%は正しいジャッジを示していたが、それがVARによって99.3%まで引き上げられたそうだ。VARによって試合が中断されたり、長引いたりするのは厄介だが、一方で映像で正確なジャッジがくだされ、公平な試合になるのはファンとしても歓迎すべきこと。選手にとっても損得あるが、ごまかしが効かなくなるのは競技レベルを高める上では有効。そして審判にとっても心理的負担も軽減されて助かっていることだろう。
ロボットやAIがもっと進化すると人から仕事を奪うという意見は根強くあり、対立構造で見られがちだ。しかしそれは本来正しくない。そこで参考になるのが審判とVARの関係性だ。審判とVARはお互いが協力してアウトプット(試合)の質を高めている。両者の関係性は、あくまで審判が主で、VARが従。試合を裁くのはあくまで人の役目であり、VARがそれを補助している。その意味では、どんなにロボットやAI技術が進化しても、現場の主役は人。そのためにも人は作業員から脱却し、ロボットやAIを使う人、使いこなす人になり、主従をはっきりさせることが大切だ。