2023年中小企業の業況見通し 右肩上がりの成長基調も22年より難しい年に 自動車、食品は回復、電機・電子、設備投資は低成長に

2023年はコロナ禍もだいぶ収まって景気回復が期待されるが、実際は原材料価格や燃料コストの高騰など不安要素は解消せず、2021年・2022年に比べて低成長にとどまりそうだ。しかしながら、製造業をはじめ設備投資や自動化、デジタル化、電化への需要は根強く、長い目でみると右肩上がりの成長路線にあり、ひとまず辛抱して力を溜める1年になる。

日本政策金融公庫総合研究所が公表した「2023年の中小企業の景況見通し」によると、中小企業における2023年の業況判断DI(改善ー悪化、実績)は、22年の6.3から23年は5.3に低下。21年はコロナ禍で大きく落ち込んだ20年から大きく改善して15.3と良い雰囲気で前向きだったが、22年はマイナス9ポイントと低下していったん落ち着き、さらに23年には横ばいか低下する見込み。
分野別では、22年に好調だった設備投資関連や電機・電子関連、衣生活関連の景況が悪化し、苦境だった乗用車関連がプラスに戻り、食生活関連も22年よりも改善する見通し。しかしながら頼みの乗用車関連も部材不足で生産が滞って大きく悪化したものが少し戻ると見ているに過ぎず、本格的な回復はもう少し先。食生活関連は21年より22年、22年より23年と改善が継続し、期待される分野だ。
2023年の売上高DI(前年比増加ー減少)は、22年の25.1から23年は15.8と大きく低下。経常利益額DIは、22年のマイナス2.8から23年は1.1と回復する見通しとなっているが、いずれも22年期初の見通しでは改善を見込んでいたところが実績では悪化に転落しており、売上高DIも経常利益額DIも実績は実際のDI値よりも厳しいものになりそうだ。
また販売価格DI(前年比上昇ー低下)は、22年の57.2から23年は42.7と低下するが、価格上昇を見込む企業が46%の高い水準で推移。特に電機・電子、食生活関連、衣生活関連の一般生活に近い分野で値上げ意向を持つ企業が半数以上を占めている。また仕入れ価格DI(前年比上昇ー低下)も、22年の73.6から23年は55.6と低下して改善しているが、高水準は変わらず、仕入れ価格の高騰は続き、23年も日用生活品の値上げは続きそうだ。
設備投資額DI(前年比増加ー減少)は、22年の1.6から23年はマイナス0.6と低調となる見通し。乗用車関連、食生活関連は設備投資が回復するが、設備投資関連、電機・電子関連は低調となっている。
2023年に向けての不安要素は、最も多いのが「原材料価格、燃料コストの高騰」で、80%以上が懸念している。続いて61.4%で「国内の消費低迷、販売不振」、44.9%で「人材の不足、育成難」が続く。一方で「コロナ禍の影響」に関しては心配する声が年々少なくなっている。
一方で期待する要素については、「原油価格の下落によるコスト低下」を期待する声が最も多く、「新型コロナウイルス感染症の影響の収束」、「円安にともなう取引先の生産・調達の国内回帰」、「円高による輸入商品等の価格の低下」と続いている。

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/c3_2212.pdf

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