電子情報技術産業協会(JEITA)は、電子情報産業の世界生産見通しを発表した。2022年の世界生産額は前年比1%増の3兆4368億ドルとなり過去最高を更新。23年はDXやカーボンニュートラル向け需要で電子部品が伸び、3%増の3兆5266億ドルで過去最高を更新する見通しとした。
22年の世界生産(ドルベース)は、21年の特需の反動や消費減速によって電子機器と部品・デバイスはマイナスとなったが、自動車や産業部門などのデジタル化やデータ利活用のソリューションサービスが好調で、前年比1%増の3兆4368億ドル。うち電子機器と電子部品・デバイスを合わせたハードウェアの生産額は2兆2461億ドル(3%減)となった。
23年は、ウクライナ問題や中国のゼロコロナ政策の長期化懸念など不透明感はあるが、各国インフレが落ち着き、景気対策で経済の安定成長が見込まれ、DXによるソリューションサーブスの拡大が見込まれる。また自動車のEV化や安全性能強化のための電装化、CO2削減、環境対応向けの需要などで電子部品の伸長が期待でき、23年の見通しは3%増の3兆5266億ドルとなる見通し。
日系企業の生産見通し(円ベース)では、円安で価格競争力の強まったプリンタやデジカメ、電気計測器等がプラスとなるほか、自動車のEV化や自動運転向けに電子部品・デバイスの搭載数が増加し、円安の底上げもあり、22年の日系企業の生産額(海外生産分含む)は8%増の39兆4837億円になる見込み。今後は脱炭素化、リモートの定着、工場自動化、サプライチェーンの可視化など新たな価値創出が加速し、データ連携やAI・データ解析、セキュリティ、ロボティクスなどIoT機器とソリューションサービスの需要拡大が期待できる。電子部品・デバイスでも自動車の生産回復と環境対応、自動運転などを背景にプラス成長を見込み、23年の日系企業生産額は対前年3%増の40兆7599億円のプラス成長と予測している。
国内生産は、22年は2%増の11兆1243億円の見通し。23年は、医用電子機器や電気計測器の生産増、パワー半導体など半導体需要も堅調に推移し、さらに増産のための設備需要、生産現場の自動化やデジタル化への投資拡大などが電子部品や半導体の生産・輸出増加につながり、3%増の11兆4029億円と予測。国内生産比率は35%で、「ディスプレイデバイス」(日系国内生産比率83%)、「電気計測器」(69%)、「医用電子機器」(67%)、「サーバ・ストレージ」(57%)、「半導体」(50%)、など、高度な信頼性や品質を要求される分野では、引き続き高い国内生産比率が維持される見通しとなっている。