儲かるメーカー改善の急所101項【急所80】社長・工場長・監督者の仕事と眼の付け所 監督者は作業の流れを、工場長はモノづくりの流れを、社長は儲けの流れを見よ。

モノづくりを上手に行うために、いろいろな人がそれぞれの役割に応じた仕事の分担をしています。
分かりやすい役割分担としては、設計部門が図面を描き、営業部門が注文を取り、技術部門が工程を作り、調達部門が仕入れ、管理部門の指示に従って製造部門が生産するといった分担です。
今回は、それとはちょっと違う役割分担についてお話しします。モノづくりにおける流れをどう管理していくかにおける分担です。
まず監督者は、眼の前で行われている作業の流れを見て、良いモノが上手に造られるようにするには何が必要かを考えて実行してください。不慣れな作業者がいたら作業のやり方を教え、滞っている所があったら応援の手配をするなど、作業がスムーズに流れるようにするのが仕事です。現場観察とコミュニケーションが大切ですね。
次に工場長は、必要な時に必要な材料が揃い、決められた品質の製品を安全に効率よく予定通りに造って出荷されるように、全体を見てチェックして指示して、モノづくりが流れるようにするのが仕事です。こちらも現場をしっかり観察して、発生したムリ・ムダ・ムラを素早く発見して対応していただくことです。
そして経営者の仕事は、会社のみんなが各自仕事をきちんと行えば確実に利益があがるように、儲けの流れが機能しているかを見ることです。全社を把握して、モノづくりの方向性を決めて、レベルを上げ、仕事を作って取ってきて、工場が儲かるようにするのが仕事となります。
それぞれの役職における役割は別々のようですが、すべてつながっています。すべての方が一段ずつ上を見て仕事をすることができると、抜けがなくしっかりとつながりができ、モノづくりは格段に強くなるでしょう。

■著者プロフィール

【略歴】柿内幸夫 1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授。著書「カイゼン4.0-スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など。

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト

改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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