【2023年 年頭所感】一般社団法人 日本電機工業会 小笠原 浩 業界の環境価値 社会へ提訴

あけましておめでとうございます。

経済産業省をはじめ、関係省庁、関連団体、会員の皆様には、日頃より当工業会の活動に多大なるご支援、ご尽力を頂き、心より御礼申し上げます。

2023年の年頭に当たり、謹んで所感を申し上げます。

新型コロナウイルス感染症が、世界的に流行し始めてから約3年が経過しました。行動制限が段階的になくなり、コロナと併存する「Withコロナ」の感染対策に移行しています。感染対策をしつつも、コロナ前の生活を取り戻す一年になればと期待しております。

さて、2022年2月ロシアのウクライナ侵攻を発端とする、エネルギー価格の高騰や電力需給のひっ迫はエネルギーを海外に依存している我が国にとり、エネルギー安全保障の課題を改めて認識させられることとなりました。そのような中、JEMAは昨年5月に「2050 カーボンニュートラル実現へのロードマップ」を策定しました。このロードマップは、当会事業領域を通じて我が国の2050年カーボンニュートラル実現に大きく貢献することを目的に、エネルギー供給面と需要面の両面から技術イノベーションで貢献し、またその社会実装に向けステークホルダーと議論をしていく際の礎となるものです。

カーボンニュートラルの実現には、電力・エネルギーの脱炭素化や電化、電動化、徹底した省エネ化の推進が必要となります。

エネルギー供給面では、再生可能エネルギーの主力電源化とそれに伴う電力供給の安定化、一方、需要面では、更なる省エネ・高効率、AIやIoT等デジタル技術による機器・設備の高度化が肝要であると考えます。

さらに、既存技術に加えて様々な技術開発の促進が重要となって参ります。

例えば、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた『次世代型太陽光発電』や『洋上風力発電』、再生可能エネルギーを効率的に送る『直流送電』や電力貯蔵のための『蓄電池』、『二酸化炭素回収・貯留技術』、『水素・アンモニアへの燃料転換』といった様々な技術開発項目が挙げられます。更に原子力分野では、原子力の再稼働が喫緊の課題である一方、『小型モジュール炉』等の次世代革新炉の開発・建設も重要課題として取り込む必要があります。2050年という目標が明確になった今、社会実装に向けて、これら技術イノベーションを更に推進すると同時に、我が国産業の国際競争力を高める観点から、コストも意識した技術開発が必要になってくると考えます。今後JEMAはこのロードマップに基づき、2050年に向けた最適な電源構成や技術イノベーション、社会実装への課題や電力料金・エネルギーコスト等の付随する諸課題について、関係官庁、関係団体、会員企業と積極的に議論し、カーボンニュートラルの実現に向けて検討を進めて参りたいと思っております。

また、近年企業に対し、財務情報に加え、気候変動対応に関連する非財務情報等の開示が求められてきております。グリーン技術や製品の市場拡大に欠かせない、ESG投資の拡大に寄与する環境情報開示活動を推進するため、JEMAは昨年9月に「電機産業における気候変動対応関連情報開示ガイダンス」を策定しました。

会員企業の省エネ、脱炭素化の取り組みを後押しするため、デジタル技術や機器点計量技術等を活用し、製品の製造や使用段階における脱炭素量を定量的に可視化することにより、その脱炭素量を訴求するだけではなく、環境価値として定量評価するための新たな検討会を設立しました。

今後JEMAは、電機産業が考える環境価値を社会に提起し、2050年カーボンニュートラル実現に貢献するグリーン技術・製品の市場拡大を推進し、会員企業の価値向上に向けた活動を展開して参ります。同時に、会員企業における環境面の企業努力等の進捗を可視化、ベンチマークして対外的にもアピールできるように業界「GXレポート」の発行にも取り組んで参ります。

JEMAは、今後も電機業界並びに会員企業の皆様への事業貢献に向けた活動に対し、一層力強く取り組んで参る所存です。

最後になりますが、この一年の皆さま方のご発展と、更なるご活躍を祈念いたしまして、私の新年のご挨拶とさせて頂きます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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