全国にある製造業の事業所を示す「事業所数」(従業者4人以上)は、2020年は17万6858カ所(経済産業省 令和3年経済センサス‐活動調査より)。生産拠点の海外展開や事業所の統廃合等を経て、年々減少傾向にある。
これまでの推移を見ると、最も古い調査結果で1965年に34万5120カ所だったものが、1970年に40万カ所、1975年に43万カ所と増加を続け、1983年に最多となる44万6942箇所を記録。以降のバブル経済期は42〜43万カ所で横ばいが続いていたが、1991年にバブル崩壊による景気の悪化と生産拠点の海外進出によって減少幅は大きくなり、1991年から2010年までの20年間で約20万カ所減少した。
2010年代になると減少幅は緩やかになり、2017年からは18万前後で推移。2020年はコロナ禍の影響で1年間で5000カ所減り、2021年も引き続き厳しい見込みだが、このあたりが底と見る動きもある。
近年はコロナ禍で部材調達が難航した反省からサプライチェーン再構築を目的にとして生産拠点を海外から国内へ回帰する動きも一部ではあるが、あくまでそれは海外から設備一式をすべて引き上げるのではなく、一部の生産能力を日本国内に移管するもの。一時的に事業所数の微増もあり得るが、そこから増加に転じてかつてのような国内生産を主とした形になるとは考えにくい。
日本国内の事業所の役割は、グローバルの本社機能と国内営業と国内向けと一部サプライチェーン保護用の生産機能、さらには最先端のものづくりの仕組みと設備を開発するマザー工場機能。統廃合による効率化が進み、底が見えてきたところで、今後は各事業所の高度化、数から質が求められる時代になる。