世界経済フォーラムは、世界の先進的な工場「Lighthouse」について、2022年は新たに36工場を追加した。日本からはP&G高崎工場(群馬県高崎市)が選出され、日本にあるLighthouseとしては3件目となる。
Lighthouseとは、第4次産業革命をリードする先進的な工場を指定してDXの推進を支援する目的のもと、世界経済フォーラムが2018年からスタートしたもので、毎年世界中の工場が選ばれている。Lighthouseには灯台、指針となってベストプラクティスを内外に広く共有し、製造業での先進技術の導入と活用を加速させていくためのリーダーシップが期待されており、Lighthouse同士のコミュニティでも活発な議論が行われている。
2023年1月時点で、世界で30カ国以上で132のLighthouseがあり、地域別分布では、中国が34%と最も多く、続いてEMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)が32%、APAC(アジア太平洋圏)が22%、アメリカが8%、LATAM(中南米)が4%となっている。産業別では、58%が半導体など先進産業、16%が医薬品産業、14%が消費財、12%がプロセス産業となっている。
日本では3件目の選出
2022年には36件のLighthouseが選ばれ、このうち7件が生産性と持続可能性の両方を満たすSustainability Lighthouseに選出された。
日本に関連するところでは、群馬県高崎市にあるP&G高崎工場が、国内では日立製作所大みか工場(茨城県日立市)とGEヘルスケア日野工場(東京都日野市)に続く3件目、消費財メーカーとしては日本で初めてLighthouseに選ばれた。
同工場では、国内で消費される衣料用洗剤「アリエール」や「ボールド」、柔軟剤「レノア」、台所用洗剤「ジョイ」、エアケア製品「ファブリーズ」などを製造している。日本市場は品質の要求レベルが高く、世界中にある同社工場のなかでもトップクラスの製造技術と品質管理能力を有している。
製品開発から販売までのバリューチェーン全体で、デジタルツイン、データコネクティビティ、AI、機械学習など先進のデジタル・テクノロジーを活用し、製品開発期間や試作のための操業停止日数の短縮化、流通業パートナーの発注利便性の向上、生産能力の向上を実現していることなどが評価された。
Lighthouseになるためには?
Lighthouseになるには、Webから自己評価を記入し審査を受け、プロジェクトチームの実地検査を受け、さらに専門家による最終評価を受ける必要がある。2023年のスケジュールは、4月までに自己評価をWebで送信し、11月に最終審査を受け、24年1月に公式発表となる。選ばれるには、生産性や持続可能性、社会・環境への対応、人材育成、働き方なども評価項目に入っているとされる。