儲かるメーカー改善の急所101項【急所81】現場改善で空間を空ける意味 新規事業に必要な空間は、現場改善によって生み出せ。

新型コロナウィルス感染拡大により、私たちを取り巻く環境は大きく変わりました。これまで当たり前と思っていたことが当たり前でなくなり、これまでのすべての前提が全く違ったものへと変わってしまった方も多いと思います。そしてそれらの多くは元に戻らない可能性が高いと思います。そこでアフターコロナにおいては、それらが元に戻るのを期待するのではなく、これまでとは違う新しい商品やマーケットを自ら生み出すことが求められます。
そこで新しい事業を起こす必要が出てくるのですが、そのためには新しい設備やラインを設置する「新たな空間」が必要です。その空間を用立てできないので諦めている経営者の方も多いのです。何か新しいことを始めようと思ってもそれをする場所がなければどうにもならないからです。
しかし私の長年の経験から考えると、それで将来へのチャレンジを諦めてる必要はありません。どの工場にも「改善によって生み出せる空間が必ずある」と断言します。不要なモノを捨てて、ラインを短縮して、設計や工程を改善して、在庫を減らします。これだけのことをして生み出した空間は大きいはずです。生み出した空間で新事業を始めるとき、その空間の代金はゼロですね。そのラインを作る時も皆で行えば融通も利くので成功確率は大幅に向上します。
お金が有り余っているのであればともかくですが、新事業を始めるための空間や作業余力は、会社全体での生産効率を上げて、社内に潜んでいるあらゆるムダを顕在化させて削り取ることによって生み出すことです。
改善で生み出された空間面積は、新事業へのポテンシャルなのです。諦めないで改めて現場の中にあるムダや改善余地を見つけましょう。

■著者プロフィール

【略歴】柿内幸夫 1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授。著書「カイゼン4.0-スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など。

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト

改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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