モノであふれている工場は総じて業績が悪い、というのが私の30年間のコンサルタント経験から来る結論です。生産に必要なスペースを減らし、多くの人はモノを探すことに時間をかけて、作業効率を悪くしているからです。そもそも、使わないモノとは、お金がモノになって寝ていることを意味しているのですから、経営効率も悪いですね。
使わないモノは徹底して捨てて、置き場をなくしていただきます。置き場がなければムダな買い方はなくなり、考えて買うようになります。清掃性も高まり、掃除も楽になります。資材も工具も探さないでもすぐ分かるようになります。
そして、モノを捨てて整理整頓をすれば空間が生み出せます。生み出された大きな空間を実際に目で見ると、自然とアイデアが生まれます。
スペースが足りないので外注していた製品の内製化や、場所がないからと諦めていた新規事業への挑戦などができるようになります。モノを捨てるメリットに気づいた企業は、必ず業績が向上するのです。
私はこの捨てる作業を、社長も役員も一般従業員もパートタイマーも外国人もはいってもらって、そして製造はもちろん営業も設計も技術も調達も管理にも入ってもらって、皆で一緒に事項します。一つひとつのモノに対してこれだけのメンバーで臨んでみると、それぞれの人からその人ならではの具体的な意見が出て、なるほどと思う改善のアイデアが出てきます。いつもはせいぜい部門単位での活動ですので、工数が足りず、すべてはではできないし決められない、ということになりますが、このような多様性のある仕事すべてをカバーしたメンバーが集まると素晴らしいアイデアと実行力が生まれるのです。そして社長がいますから、その場で即断即決が可能です。
場所を空けて、たくさんの改善アイデアを出して、皆で、即、実行しましょう!
■著者プロフィール
【略歴】柿内幸夫 1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授。著書「カイゼン4.0-スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など。
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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https://www.kaizenproject.jp