国際ロボット連盟(IFR)は、世界各国の製造業における従業員1万人あたりのロボット稼働台数を表す「ロボット密度」の2022年版を発表し、2021年のロボット密度ランキングで日本は399台で、韓国、シンガポールに続く3位となった。しかし伸び率は他国に比べて圧倒的に低く、上位から転落する可能性が高まっている。生産性向上と国内ロボット産業の振興のためにも大幅なテコ入れが不可欠だ。
2021年のロボット密度の世界平均は1万人あたり141台。6年前の2倍以上まで拡大している。地域別ではアジアが15%以上の伸びで成長を続けて156台に達し、ヨーロッパは129台、南北アメリカは117台で、アジアが成長を牽引している。
国別のトップ10では、トップは韓国で1万人あたり1000台。前年の932台から68台増と大きく伸長した。エレクトロニクスと自動車産業が中心となってロボット需要を支えている。
2位のシンガポールが670台(前年比+65台)。3位の日本は399台(+9台)。4位のドイツは397台(+26台)でヨーロッパでトップ。5位が中国の322台(+76台)。中国はスウェーデンを抜いて初めてトップ5入りした。以下はスウェーデン321台(+32台)、香港304台(+29台)、台湾276台(+28台)、アメリカ274台(+19台)、スロベニア249台(+66台)と続いている。
他国が最低でも20台以上の増加を遂げていて、導入が盛んな国では50台以上伸ばしているのに対し、日本は9台と相対的には低迷している。日本の産業用ロボットは世界でも評価が高く、高いシェアを維持し、将来も有望な重要産業に育っている。強い産業、成長産業は足元に強固な市場があってこそ。現在ロボット産業は輸出が中心になっているとはいえ、土台となる国内産業がもっとロボットを導入・活用していくことが、日本全体の生産性を高め、ロボット産業をより強くすることにつながる。そのためのテコ入れが必要だ。