矢野経済研究所は、協働ロボットの世界市場に関する調査結果を公表し、世界出荷台数は2021年の約4万4000台、出荷金額は1500億円弱から、2032年には協働ロボットの世界出荷台数が43万台、出荷金額1兆538億円まで拡大すると見通した。
調査では、2021年における協働ロボット世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで4万4204台、出荷金額ベースでは1496億6,900万円とした。
半導体など部材不足は協働ロボットの生産に影響を与えたが、製造業の生産・製造における自動化ニーズは根強く、コロナ禍での人手不足や密の防止、生産コスト削減、製造品質の向上、生産安定化などで協働ロボットの導入が世界的に拡大。
国・地域別でも、部材不足による製造停滞と設備投資の減少が協働ロボットの世界市場にも逆風になる懸念があったが、実際は国や地域を問わずに導入が進んだ。特に製造業に加えてサービス業でも導入が拡大している中国を筆頭に、成長著しいアジア、人手不足が深刻化するアメリカ、バッテリ・半導体の製造メーカーが多い韓国などで拡大が見込まれている。
今後に関して、協働ロボットは安全停止のために速度が低く抑えられ、タクトタイムの遅さがネックとなっていたが、最近は作業者が作業エリアにいない場合は高速で、エリアセンサ等で侵入を検知すると低速モードに変わる協働ロボットも出てきており、より精密に障害物の感知や速度変換が実現できる技術が開発されることで協働ロボットの普及がさらに進むとした。
また協働ロボットによる自動化ニーズは勢いが増しており、参入プレイヤーが増加していることで関連部品のコストが下がり、本体価格や導入コストも低下することが見込まれている。32年には22年比で協働ロボットの本体価格は30%下がり、さらに市場拡大を後押しすると見込んでいる。