
ENEOSマテリアルと横河電機は、自ら学ぶ自律制御AI・強化学習AIアルゴリズム「FKDPP」について、化学プラントの完全自律運転の共同実証実験を行ない、1年間の実験を経て高パフォーマンスで自律制御できることを確認し、正式採用を決定した。強化学習AIが化学プラントの直接制御で採用されるのは世界初。
FKDPPは強化学習技術を使ったAIアルゴリズムで、奈良先端科学技術大学院大学
と共同開発したAIアルゴリズムと、プラント操業や制御に関する横河電機のノウハウを組み合わせ、熟練オペレータの手動制御でないと難しかった複雑な制御をAIで可能にしたもの。2020年にシミュレータ上でFKDPPによる自律制御に成功し、2022年にJSRの実際のプラントで実証実験を行い、35日間の完全自律運転に成功。その後、ENEOSマテリアルに実験が引き継がれ、1年間のテストを実施していた。
テストでは、蒸留塔の留出物の品質や液面レベルを適切に保ち、且つ排熱を最大限に利用するという複雑な条件下でFKDPPが制御する形で行われ、季節変化による温度変化などの外乱条件下での1年間の安定稼働、品質安定による規格外品の発生とその処理対応による無駄なリソースの削減、蒸気使用量とCO2排出量も手動制御に比べて40%削減などの効果があった。また、運転員が24時間体制で張り付いて手動制御する必要がなくなり、人への負担軽減と安全性も向上も確認された。
横河電機は自律制御AIに関連したサービスについて、FKDPPをエッジコントローラで利用できるサービスを開始済みで、さらに自律化を目指すプラント向けのコンサルティングサービスをグローバルで展開していく。